大分の喧嘩独楽と遊び方 北川木工所のツクリとセッケでケクリ合う!

2018年渓流釣りの解禁を迎える前、ふと小学生時代のこの時期を思い返した。そっかぁ冬は「独楽」で遊んだよなぁと♪ 「もぅ、いくつ寝るとお正月ぅ~」の歌にもあるが、正月だけでなく晩秋から冬にかけての代表的な遊びと言えば当然コマだった。

亀有公園前派出所の両さんなどはベーゴマでぶいぶい言わせてたらしいが、正直なところ見たことも聞いたこともないww 1970年代中頃の大分の場合、コマ遊びはいわゆる投げ独楽(北川木工所謹製)による喧嘩独楽である。そして私達が遊んでいたのは、「イキナガ」と「円出し」の2種類だ!

「いくでぇ~、どっきゃぁ~!」の掛け声とともに相手の独楽をケクルのだ♪

(参考画像)北川独楽各種
★参照 消え行くアメリカ車たちを追って様。

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70年代から80年代前半に咲いた大分の喧嘩独楽(けんかごま)文化

~北川木工所のコマ~

さてこの独楽遊びと言えば全国各地で色々あるが、大分市にて小学生時代を過ごした少年(現40~60歳代)なら、木製の本体から突き出た2cmほどの鉄芯にエンナ(回すための紐)を巻き付け、上手に構えて地面に投げつける。北川木工所(2か所あった)謹製で大きく2種類ツクリとセッケ。ツクリはある程度形が決まっていて富士、火山、リンゴ、へそ、エベレスト他多数で、セッケは自分のデザインしたものを持ち込んで作ってもらうタイプで、値段も気持ちだけお高めだった。

~通常販売や他地域で見られるようなコマもあったが~

平ゴマ(北川木工所謹製以外)と呼んでいたような横手投げで回すのタイプも低学年メインのイキナガなら使えないこともないが、中~高学年はケクルのでオンマ以外に手がない平ゴマは只の餌にしかならない。只平ゴマでも鉄芯かつ本体に鉄の輪っかが取り付けられているものは、回転力もあるためイキナガでの持続力もあり、ケクル際は本体が木製のみの北川木工所産だとちょっと勇気が居る場合もあったはず。併せてヘソゴマ(北川木工所謹製以外)などと呼ばれる一般販売の物もあった。

独楽遊びの用語

キタガワもしくはモッコウショ 北川木工所のことw
イキナガ コマ回しの遊び方
イキツギ コマにエンナで回転を加えなおすこと
エンダシ(円出し) コマ回しの遊び方
ケクル・コクル コマをケクルことw 自ゴマの鉄芯にて相手のコマに打ち付けること。大きな傷を入れれるともう最高で、やられると泣きたくなるw 最悪割れるいや基本割るつもりで投げてケクル!
エンナ コマ回しの紐
インビ イキナガの一番手に回す人、以降ニビ・サンビ…最後が天下となる
オンマ お手のこと、えw 回っているコマを手に乗せること。横から上からぶつけたり、相手の行動を制限したりと重要なテクニック。下手くそはコマを上にあげるようにオンマするが、上手い人は指で挟むような動きでオンマするので、回転を維持しやすい。
ツクリ 北川木工所にて定型のコマのこと セッケからこちらに来ることもあったと思われる。「ヘソ」お願いしますと言えばおk。
セッケ 自作のデザインを北川木工所にて作ってもらうこと、一種のブランド品?w
ガタ (が来る)ケクラれたり、堅い場所(アスファルトやコンクリ上)で回して、ヒビが入って回転がおかしくなった独楽。回転が安定せず、唸り方もおかしくなりイキナガなどで安定しない。

かなり独特な用語を使っていたのが分かります。知らない人が聞いたら何を言ってるのかw でもエンナやイキナガ、ケクル、オンマとかは国東生まれのうちの爺様や父上も使っていた記憶があります。

独楽の回し方

基本的に横投げをすることはなく、下手から上に投げ上げて、オンマしてエンナで右手から左手に渡すなどといった遊びはほとんどしていなかった。ただし、平コマを使って一人遊びの方法や見せ技としてすることはあり、うちらの爺様世代はこちらが巧かった。父親世代に独楽欲しいというと買ってきてくれたのは普通の平ゴマだったりしたから、おそらくコマ自体に世代間の断絶があったと思う。

北川木工所謹製独楽の場合は、上投げから力強く地面や相手のコマに打ち付け、「ケクリ割っちゃる!」という願望を持っていた。良い独楽ほど唸りが良い。まぁ、これは回さないと形だけではわからないが、良い唸りの独楽ほどイキナガでは強かった。そんな独楽が下に居るなら真っ先にケクルべし、ケクルべし。天下に居座られるともういじめだったww

芯を投げる方向に向けて腕を振り下ろすのが基本。ケクルことが大事なので、芯を指の間に挟み込む投げ方は知識としてはあったけれど意味がないのでしてなかったように思う。

自分だけで回すのなら不要だがイキナガや円出しで使うなら使っていたのがセメダインなどの防御効果。独楽が相手にもケクラれるので、上部の化粧細工部分にボンドやセメダインなどを塗り少しでも本体へのダメージを防ぐ(ツモリだった)。

投げとイキツギに重要なのがエンナ(紐)。入手しやすい編み目の大きい紐は使いづらく、勝負のかかるイキナガやエンダシだと致命的なミスにも繋がったように思う。

(参考画像)エンナ拡大★参照 山村圭(twitter)

お借りした画像のように網目の小さいものが使いやすく、尻は5円玉などで小指と薬指にてしっかりと固定できるようにしていた。イキツギは他地域ではコマを叩くようにしているのを見たが、北川コマは芯にエンナを軽く添わせる感じで一気に同回転方向へ振りぬく感じ。エンナのひっかかりが大きかったり、団子を付けていたりすると邪魔になった。

遊び方一 イキナガ(息長か?)

大体5人以上で遊ぶ。
1 歌に合わせて全員一斉にコマを投げ、一番最後まで回ったコマの持ち主が天下となる。
  謳い文句は、「イキナガしょぉか しょぉくらべ ベニさんがベソかいた 隣のコマは割れゴマだ!」
  短い文句は、「イキナガしょぉか しょぉくらべ!」
  最後の!で投げる (おそらく、皆回すというより投げると言ってたような気が…)
2 早く息(コマの回転)が止まった人から、5人ならインビ、ニビ、サンビ、副将(もしくは将軍)、天下(テンカ)と順番を付ける。
3 インビから順に投げていく。インビ以外の人が「インビ、いっきゃ~!」と号令がかかると開始。
4 順に天下まで投げるが、競うのは一番長く息が続いた(最後まで回っていた)コマが勝利ということ。投げる時には、すでに投げられている独楽をケクルのが基本。かなり巧くいけば吹っ飛ぶし、失敗すると自分の回転が足りなくなる。微妙なときはケクラずに投げるのみ。
5 天下が投げ終わるまで、イキツギ・オンマ禁止。
6 天下が投げ終えた後、オンマした人は「オンマぁ」と声を掛けると、一切のイキツギは禁止となる。
7 天下が最後までイキが続けば良いが、負けた場合は天下落ちとなり次回はインビ確定。2へと戻る。

※強い独楽が天下に居座っている場合は、天下が投げ終えてすぐにオンマしてぶつけて弱らせたりw

遊び方その二 エンダシ(円出し)

イキナガは小さい子も入れて遊べてそのコマにも手加減を加えられるが、エンダシだと回すことすら叶わなくなる危険性がありコマも痛むので、同学年や力量の近しい者同士でやる強者どものバトルロイヤル!

大体5人以上で遊ぶ。
1 直径1m前後の円を描き、中心点をマークする。
2 じゃんけんなどで投げる順を決めて、順番に投げていく。その際は中心点に近く独楽が着地することが基準で、遠い方が負けとなるが、回らない・円に入らないのが最低となる。全員円に入って回った場合は、一番遠い人が負け。
 註:たしかイキナガのオンマ無、イキツギ無の勝負で順番を決めた記憶もある。
3 ここからがエンダシの本格的部分。負けた人のコマは円の中に配置される。コマが一個の場合は芯を地面に突き刺されてまさに無残。2~3個ある場合はまとめて転がして配置。
※回らなかった人、円に入らなかった人が居た場合は無条件で円の中に置かれる。
4 ここで相手のコマをケクル。投げたコマに弾かれて円の外に出たコマの持ち主は投げに回れる。出ないコマの人はただただ自分のコマの無事を祈るだけ。
5 円内のコマが無くなるか、投げ手が居なくなるまで続く。この条件が満たされれば2に戻る。

(参照画像)段富士か?
★参照 山村圭(twitter)

青い塗装にセメダインそして、数々の傷が歴戦の勇者と物語ります。段富士じゃなく外輪山付富士かなぁ? ちょっと私には名称はわかりませんでした。

形と遊び その起源は、おそらく…

佐世保独楽と言われるものが九州の独楽文化に一つの大きな影響を与えていたのは現時点では間違いないと思っています。「イキナガ」の掛け声も似てます。またケクリやブツケなどの遊び方は福岡方面の独楽とも似ていました。それぞれyoutubeにアップされてましたので参考までにあげておきましょう。

佐世保独楽の遊び方

福岡独楽の遊び方

関連動画には3時間オンマ(福岡では手のせと呼ぶらしい)するとかww(心の叫び:福岡のガキんちょすげぇなこれw こんなんにケクラれたら割れるわwww)

大分で北川製独楽の登場が元からあったと思われるイキナガに大きな影響を与えたのは間違いないでしょう。おそらく、コマのサイズなどに合わせて遊び方が変形していった部分も考えられます。現状円出しはかなり独特な気がします、この遊び方は他の独楽だとやりにくいはず。この遊び考え付いた地方か小学校か分かりませんが、すごいと思います。

ただあだ花となった理由はおそらく北川木工所の造詣が優れていたことと種類の多さと小ささにあったのではないでしょうか。動画でみても分かりますが、佐世保独楽や福岡独楽にはサイズや色の違いはあれど独楽自体の形に変わりはありません。子どもの頃ツクリをお願いした時に見ましたが、おじさん気軽にポイポイ作りすぎだったのではw あれだけ流行っていたのに他の作り手聞きませんでした。またサイズも小さかったので他地方の大きめの独楽にケクラれると間違いなく負けますしねw

北川木工所製独楽とその遊び方の募集

私の記憶の中での北川木工所謹製独楽遊びを記しておりますが、精査できれば非常に嬉しく思います。自身の記憶違いもありますし学区(小学校)別と年代による変化、そして関連情報、「写真なら送れるよ」、「本体をまだ持ってるよ」等々ぜひお知らせくださるとありがたいです。継続的にまとめていきたいと思っておりますゆえ。

特にイキナガの唄い文句が気になっております^^

コメント欄かメールにて(情報の正確を期すために)できれば、次のように話者情報も入れてくれると助かります。なお、今回の話者は私(例 1966年生 敷戸小学校 DT=イニシャル可)です。ぜひぜひ、当時の悪餓鬼どものお知らせを聞きたいと思ってます。明野じゃ○○、王子じゃ××、八幡じゃ△△などなどですね、よろしくです♪

北川木工所謹製独楽の終わりに

現代民俗学及び大分の民具(玩具)研究の一端を担うものになるかもしれないなんて、お堅い頭もピィ~ンと来た。研究論文にまでするつもりはありませんが、幾つか面白そうな匂いがしてきましたので情報集めも兼ねて書き起こしておきます。民具弱いんですがねw 

真面目な話ですが、北川木工所の独楽はかなり大事です。大分の民具として、すぐに歴史資料館とかで集めておくべき品物、いや繰り返しますがまじですよこれ。トラウト類で言うならキリクチとかゴギクラスですよ、この独楽と文化!! あかん興奮してるわww

んとですね、遊び方に伝来など考察すると「メリーさんの館」とか「口裂け女」と構造自体は一緒なのではなかろうか、そう現代的視点の民俗学といえるかも^^ あ、そこの民俗学関係者さぁん、笑わないでってばぁ!! 論文にするぞぉww

60~80年代の遊び情報も順次集めてまいりますので、「釘サシ」やら「ロクムシ」やら「たんぼ」に「くちく」なんかの遊びもあったなぁ、新たに懐古趣味のカテゴリ作ったので楽しみにしといてくださいな。思いつくままに書いてみましたが、後々整理しますw

【参考にしたページ】感謝いたしております。

「大分、北川木工所の思い出」:ブログ 消え行くアメリカ車たちを追って様。
山村圭(twitter)

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