大分県(豊後国と豊前国の一部)に遺される海産魚類等の語彙(方言)一覧表。
代表的なのは、ホゴ、ギザメ、ゼンゴ、ハゲあたりだろうか、カマガリという借物系(例:ママカリ)、メダマ(身体的特徴)等の事例も見られる。
ダイガンジ、ヘイケ、ケンチャン、カタノヲカタナキリと云った珍魚名方言も。
まだまだ事例は多いとは言えないが方言分布の傾向を見るに、豊前・周防灘、別府湾沿岸・国東半島、豊後水道の三つに区分できそうだ。
また、それぞれ福岡県豊前地方、山口県、瀬戸内海西部、愛媛県南予地方との交流も薄いながらも見えてくる。
大分県の海産生物の魚名方言一覧
①名称=一般的な名称や標準和名
②魚名=収集魚名・漢字
※名称の分類はアジ類、タイ類、ブリ類など代表的な魚名を基にして、アイウエオ順に並べた。魚類学の科目でない点に注意。
①名称 | ②魚名 | 方言名 | 地域・資料番号・備考 |
---|---|---|---|
アイゴ類 アイゴ | あいご | バリ | 大分市 ☆ |
アイゴ | あいご | バリバリタレ | 別府市 H01 ※アイゴ科、バリとも。 |
アイゴか? | 魚+宜 | ウミアイか? | 大分市 17-51 ※ウミアイの語は他地域(延岡市他)のウミアイとの関連からアイゴと推測。 魚+宜には、アマゴの使用例も有。 |
アイナメ類 アイナメ | あいなめ 鱶 | アイナメ | 大分市 17-51 ※史料の鱶はフカと訓ずるが、フリガナ有の為アイナメとす。 |
アイナメ | あいなめ 鮎並 | オツムギ | 別府市 H01 ※アイナメ科。 クジメもこの類で、西の方が総称されているのではと。 |
アイナメ | あいなめ | オツムギ | 国東市 ☆ |
アジ類 アジ | あぢ 鯵 | アヂ | 大分市 17-51 ※マアジは一般的にはアジで通用するかと考える。 ※西国では小型をコビラコ(甲1 A127)ともある。 |
アジ | アジ | 幼=ゼンゴ(20cm程迄) | 中津市 W02 |
マアジ | まあじ 真鯵 | 幼=ゼンゴ | 別府市 H01 |
マアジ | あじ | アジ。幼=ゼンゴ | 国東市 ☆ |
カイワリ | かりわり | ヒラアジ | 別府市 H01 ※アジ科。 名称の多くがアジ系に因るのでアジ類に一括する。 |
カイワリ | かいわり 貝割 | ヒラアジ、メッキ、メッキアジ | 中津市 W02 |
ギンカガミ | ぎんかがみ 銀鏡 | ギンカガミ | 別府市 H01 ※ギンカガミ科 アジ系の名称が多いためアジ類に分類。 |
ギンガメアジ | ぎんがめあじ | ヒラアジ | 別府市 H01 ※アジ科。 |
ムロアジ | むろあじ 鰘 | ムロアジ | 別府市 H01 ※アジ科 |
メアジ | めあじ | メアジ | 別府市 H01 ※アジ科 |
アナゴ類 アナゴ | あなご | アナゴ | 大分市 17-51 ※ アナゴ科 |
マアナゴ | あなご 穴子 | アナゴ | 別府市 H01 |
マアナゴ | あなご | ウミウナギ | 九州北部・瀬戸内海 W02 |
ギンアナゴ | ぎんあなご | トウヒイ | 別府市 H01 ※アナゴ科 |
アンコウ類 アンコウ | あんこう 鮟鱇 | アンコウ | 別府市 H01 ※アンコウ科 |
イザリウオ(カエルアンコウ) | いざりうお | イザリウオ | 別府市 H01 ※イザリウオ科。 2007年 標準和名及び科名をカエルアンコウに変更。 |
イザリウオ(カエルアンコウ) | いざりうお | バクトオボオ | 豊後佐伯 甲1 #7 |
イカ類 イカ | いか 烏賊 | イカ | 大分市 17-51 |
イサキ類 イサキ | いさき | イサキ | 大分市 17-51 ※イサキ科、イサギとも。 |
イサキ | いさき 伊佐木魚 | ハンサコ | 別府市 H01 |
シマイサキ | しまいさき | コトヒキ | 別府市 H01 ※シマイサキ科 |
シマイサキ | しまいさぎ | スミヤキ | 大分県 甲1#2,8 |
シマイサキ | しまいさき | スミヤケ 炭焼け | 佐伯市 W02 |
シマイサキ | しまいさぎ | スミヤケ | 豊後佐伯 甲1#7,11 |
イルカ類 イルカ | いるか 江豚 | イルカ | 大分市 17-51 |
イワシ類 イワシ | いわし 鰯 | イワシ | 大分市 17-51 ※ニシン科 ※マイワシとカタクチを併せてイワシと呼ぶのが多い。 |
イワシ・マイワシ | まいわし 鰯 | マイワシ | 別府市 H01 |
ウルメイワシ | うるめいわし 潤目鰯 | ウルメ | 別府市 H01 ※ウルメイワシ科 |
カタクチイワシ | かたくち | イラタカ・セグロイワシ | 別府市 H01 ※カタクチイワシ科、セグロイワシとも。 |
カタクチイワシ | まいわし | マイワシ | 瀬戸内 甲1#1、#67 ※甲1マイワシの項に、「瀬戸内のマイワシはカタクチのこと」とある。 |
トウゴロウイワシ | とうごろういわし 藤五郎鰯 | トウゴロウイワシ | 別府市 H01 ※トウゴロウイワシ科、分類上はボラやダツなどが近縁. |
ウツボ類 ウツボ | うつぼ | ウツボ | 別府市 H01 ※ウツボ科 |
ウナギ・ニホンウナギ | うなぎ 鰻 | ウナギ | 別府市 H01 ※ウナギ科 |
ウミヘビ類 ウミヘビ | うみへび 海蛇 | ウミヘビ | 別府市 H01 ※総称もしくはダイナンウミヘビかと。 |
スソウミヘビ | すそうみへび | スソウミヘビ | 別府市 H01 ※ウミヘビ科 |
モンガラドオシ | もんがらどおし | モンガラドオシ | 別府市 H01 ※ウミヘビ科 |
エイ類 エイ | えい | エイ | 大分市 ☆ ※総称としてのエイ。アカエイの項にもあるが「エ」とも聞く。 |
アカエイ | あかえい 赤鱝 | アカエイ | 別府市 H01 ※九州ではアカエ、エ(甲2 #97)とされる。 |
ソコガンギエイか? | がんぎえい 雁木鱝 | ガンギエイ | 別府市 H01 ※ガンギエイ科 |
トビエイ | とびえい 鳶鱝 | トビエイ | 別府市 H01 ※トビエイ科 |
エソ類 エソ | えそ 鮧 | エソ | 大分市 17-51 ※総称としてのエソ。 |
エソ・マエソ | まえそ 狗母魚 | マエソ | 別府市 H01 ※エソ科 |
アカエソ | あかえそ | アカエソ | 別府市 H01 ※エソ科 |
オキエソ | おきえそ | イラタカ | 別府市 H01 ※エソ科 |
エビ類 エビ | ゑび | エビ | 大分市 17-51 ※エビ類の総称。 |
オコゼ類 オコゼ | おこぜ | オコゼ | 大分市 17-51 ※オコゼ類の総称。 |
サツオミシマか? | おこぼ | オコボ | 別府市 H01 ※ミシマオコゼ科 1955年の『図説有用魚類千種』に標準和名オコボとある。 |
ダルマオコゼ | だるまおこぜ | ツチオコゼ | 佐伯 甲1 #8 |
ハオコゼ | はおこぜ | カラカメ | 別府市 H01 ※ハオコゼ科 |
ミシマオコゼ | みしまおこぜ | ミシマオコゼ | 別府市 H01 ※ミシマオコゼ科 |
カサゴ類 カサゴ | かさご | ホゴ、アカホゴ | 国東市 ☆ ※メバル科。 ※全国的に見るとメバル類、ソイ類との名称交じりが多いため注意を要する。 ※豊後域はほとんどホゴかアカホゴかと思う。 |
カサゴ | かさご 笠子 | アカホゴ | 別府市 H01 |
カサゴ | かさご | ホゴ | 大分市 17-51 |
オニカサゴ | おにかさご 鬼笠子 | オニカサゴ | 別府市 H01 ※フカカサゴ科。 ※九州の一部ではヤマノカミ(甲1 #8)ともある。民俗儀礼でも用いられることが多い魚。 |
カツオ類 カツオ | かつお 鰹 | カツオ | 別府市 H01 ※サバ科 カツオ類の総称。 |
ソウダガツオ | そうだ | チャブクロ | 別府市 H01 |
ハガツオ | はがつお | ハガツオ | 別府市 H01 ※サバ科 |
マナガツオ | まなかつお 鯧 | マナガツオ | 別府市 H01 ※マナガツオ科 |
カナガシラ類 カナガシラ | かながしら | カナガシラ | 大分市 ☆ ※ホウボウ科。色、見た目、科などからホウボウ類にするか迷ったが現時点ではカナガシラ類に。 ※九州ではカナンド(甲1 #95)とされる。 |
イゴダカホデリか? | いごだかほごり | カナガシラ | 別府市 H01 (いごたかほごり、とげ、そこの3種を総称してカナガシラ。) ※ホウボウ科 |
ソコカナガシラ | そこかながしら | カナガシラ | 別府市 H01 |
トゲカナガシラ | とげかながしら | カナガシラ | 別府市 H01 |
カマス類 カマス | かます 魳 | カマス | 大分市 17-51 ※カマス科 ※カマス類の総称。 |
アカカマス | かます 魣 | カマス | 別府市 H01 |
ヤマトカマス | あおかます 青魣 | ミズカマス | 別府市 H01 |
カレイ類 カレイ | かれい 玉餘魚 | カレイ | 大分市 17-51 ※カレイ類の総称として。 ※江戸期の同書にはヒラメが記されていない。ヒラメを含む可能性はある。その場合、小分類のカレイ名もあるためその中にヒラメがあったのかもしれない。 |
カレイ | まがれい 真鰈 | マガレイ | 別府市 H01 ※場所的にも、シロシタカレイが何時から呼ばれているのかに注意が要りそうだ。 |
イシガレイ | いしがれい | イシモチ | 九州 甲1 #8 |
ダルマガレイ | だるまがれい | ダルマガレイ | 別府市 H01 ※ダルマガレイ科 |
ホシガレイ | ほしがれい | マツヤカレイ | 別府市 H01 |
ホシガレイ | ほしがれい | ヤマブシガレイ | 豊前沿岸 甲1 #8 |
マツカワガレイ | まつかは | マツカハ | 別府市 H01 |
マコガレイ | まこがれい | シロシタカレイ | 日出 甲1 #2,8,14 |
ミギガレイか? | めだま | メダマ | 別府市 H01 ※魚種不明。 W02にて、ミギガレイ、メイタガレイ、ノコギリダイ等の例あり。 |
メイタガレイ | めいたがれい | メジカ | 別府市 H01 ※カレイ科、ホンメイタとも。 |
メイタガレイ | めいたがれい | メジカ(目近) メジカガレイ | 中津市 W02 宇佐市 W02 |
キス類 キス | きす | キス | 大分市 17-51 ※キス類の総称。 ※九州ではキスゴ(甲1#2)とも。 |
シロギス | きす 鱚 | キスゴ | 別府市 H01 |
グチ類 グチ | ぐち | グチ | ※大分市 ☆ ※グチ類の総称として。 |
イシモチ | いしもち | グチ | 豊後佐伯 甲1#7,8 |
グチ・イシモチ | ぐち 石首魚 | グチ | 大分市 17-51 |
クログチ | いしもち 石持 | カマガリコイチ | 別府市 H01 ※W02を参考に、方言名からクログチに比定。 |
クログチ | くろぐち | カマガリ | 臼杵市 W02 ※「釜ごとご飯を借りるほど美味しい魚」から。 宮崎ではクイチとも。 |
ニベ | にべ 石首魚 | グチ | 別府市 H01 |
コチ類 コチ | こち | コチ | 大分市 17-51 |
コチ | こち | クロゴチ、シロゴチ | 豊前海 甲1 #8 ※甲1にてはコチ類の総称とされる。 |
オニゴチ | おにごち 鬼鯒 | オニゴチ | 別府市 H01 |
マゴチ | こち 鯒 | コチ | 別府市 H01 |
マゴチ | まごち | クロゴチ、シロゴチ | 豊前海 W02 ※ヨシノゴチをシロゴチ(白鯒)に対して黒っぽいコチの意かと指摘有。 |
コノシロ | このしろ 鱅魚 | コノシロ | 大分市 17-51 ※九州ではコノシロ(甲1 #8)、幼魚をツナシ(甲1 A112、A127)と記される。 |
コノシロ | このしろ 鰶 | 幼=ツナシ | 別府市 H01 |
ゴンズイ類 ゴンズイ | ごんずい | ウミギギ・ウブヤケ | 別府市 H01 ※ゴンズイ科。 ナマズ類かギギ類にするべきか。 |
サッパ類 サッパ | さっぱ | ヒラ | 別府市 H01 ※ニシン科。 イワシ類に分類するべきか。 |
サバ類 サバ | さば 鯖 | サバ | 大分市 17-51 |
マサバ | ほんさば 真鯖 | ホンサバ | 別府市 H01 |
ゴマサバ | ごまさば | ゴマサバ | 別府市 H01 |
サメ類 サメ | ふか | フカ | 大分市 ☆ ※九州ではサメを一般的にフカと呼んでいた。九州域での旧総称がフカと考えてよいと思う。 以下の別府市誌の記録はそれ以降のものであり、別の方言が在ったと考えられる。 |
サメ | なはくり | ナハクリ | 豊後国 甲1 A143 |
サメ | はいたみ | ハイタミ | 豊後国 甲1 A143 |
アオザメ | あおざめ 青鮫 | アオザメ | 別府市 H01 |
ウバザメ | ばかざめ 馬鹿鮫 | バカブカ | 別府市 H01 ※ウバザメ 姥鮫 のこと。 |
オナガザメ | おながざめ 尾長鮫 | オナガザメ | 別府市 H01 |
カスザメ | かすざめ 糟鮫 | カスザメ | 別府市 H01 |
カスザメ | かすざめ | サメ | 九州 甲2 #97 ※甲2には、「関西、四国、九州でサメといふのはカスザメのことで他のサメ類ではない」とある。 |
サカタザメ | さかたざめ | スキサキ | 杵築 甲2 #97 |
シュモクザメ | しゅもくざめ 撞木鮫 | シュモクザメ | 別府市 H01 |
シュモクザメ | しゅもくざめ | カイメウ | 豊前国 甲1 A143 |
テンジクサメ | てんじくざめ | ニシキブカ | 別府市 H01 |
トラザメ | とらざめ 虎鮫 | トラブカ | 別府市 H01 |
ネコザメ | ねこざめ 猫鮫 | ネコブカ | 別府市 H01 |
ノコギリザメ | のこぎりざめ 鋸鮫 | ノコギリザメ | 別府市 H01 |
ホシザメ | ほしざめ 星鮫 | ノオクリブカ | 別府市 H01 |
ホシザメ | ほしざめ | ノオクリ ノオノクリ | 【参考】九州 甲1 #11 【参考】九州 甲1 #12、#14 |
ヨシキリザメ | よしきり | ミズブカ コンジヨブカ | 【参考】九州 甲1 #8 【参考】九州 甲1 #95 |
サヨリ類 サヨリ | さより 鱵魚 | サヨリ | 大分市 17-51 ※サヨリ科。 サンマ、ダツ、トビウオ等とトビウオ(ダツ)亜目。 |
サヨリ | さより 細魚 | サヨリ | 別府市 H01 |
サワラ | さはら 鰆 | サハラ | 大分市 17-51 ※サバ科 ※九州ではサゴシ(甲1 #8)と呼ぶ。 |
サワラ | さわら 馬鮫魚 | サゴシ | 別府市 H01 |
ウシサワラ | うしさわら | ウシサワラ | 別府市 H01 |
シイラ類 シイラ | しいら 鱪 | シイラ | 別府市 H01 ※シイラ科 ※九州ではネコヅラ(甲1 #12,14)。 |
シロウオ? | しろうお・しらうお 白魚 | シロウオ・シラウオ | 別府市 H01 ※現代に近いほど分類が正確だが、近代以前は史料的にも正確な魚種不明なことが多い。 白魚は別の魚種にも見られるため、別記の事象が無いと分類は難しい。現時点では統合している。 |
スズキ類 スズキ | すずき 鱸 | 幼=セイゴ | 別府市 H01 ※スズキ科。成長魚・出世魚の代表でもあるが、大分ではそこまでの出世は見られていない。 出世魚とは大きさによって価値が変わるからでもあり、その濃淡からは地域の対象魚に対する扱い方が見えてくる。 |
スズキ | すずき 鱸 | 幼=小鱸、セイゴ | 大分市 17-51 |
ソイ類 クロソイ | ふせり | フセリ | 国東市 ☆ ※ソイ自体は、ソイ類の総称としても使われるが、大分県では異なっていた様に思われる。 |
クロソイ | くろべえ | クロベエ | 大分市 ☆ |
タイ類 タイ | たい 鯛 | タイ | 大分市 17-51 ※タイにあやかる魚名は多いため、一括して扱っておく。タイがタイを指すのか、魚を指すのか的な問題は個別となるだろう。 ※マダイ、チダイ、キダイを「鯛三種」と言う。 |
タイ・マダイ | まだひ 真鯛 | マダヒ | 別府市 H01 |
タイ・マダイ | まだい | ヘイケ | 豊前 甲1 A127 |
アオブダイ | あおぶだい | オオムダイ | 別府市 H01 ※ブダイ科 |
アカアマダイ | あまだい 甘鯛 | クズナ | 別府市 H01 ※アマダイ科 |
アマダイ | あまだい | クズナダイ | 大分市 17-51 |
イシダイ | いしだい 石鯛 | クログチ | 別府市 H01 ※イシダイ科 |
イシダイ | さんばそう | 幼=サンバソウ | 大分市 ☆ |
イトヨリダイ | いとよりだい 糸搓鯛 | イトヨリ | 別府市 H01 ※イトヨリダイ科 |
カガミダイ | かがみだい | カガミダイ | 別府市 H01 ※マトウダイ科 |
カゴカキダイ | かごかきだい | サンバソウ | 別府市 H01 ※カゴカキダイ科 |
キダイ | きだい | ベンコダイ | 別府市 H01 ※一般には、レンコダイとも |
キントキダイ | きんとき 金時 | キントキ | 別府市 H01 ※キントキダイ |
キントキダイ類か? | 金銀鯛 | ヒノマルダイ | 別府市 H01 ※魚種不明 キントキ系か? |
クルマダイ | くるまだい 車鯛 | クルマダイ | 別府市 H01 ※キントキダイ科 |
ギンメダイ | ぎんめ鯛 | ギンメダイ | 別府市 H01 ※ギンメダイ科 |
クロダイ | ちぬ | チヌ | 大分市 ☆ |
クロダイ | くろだい | チヌダイ チン | 【参考】九州 甲1#7 【参考】九州 甲1#8,11 ※チヌ・チンが大分県の総称であったのだろう。 |
クロダイ | くろだい 黒鯛 | チヌダイ | 別府市 H01 ※タイ科 |
クロダイ | くろだい | チンタイ | 大分市 17-51 |
コショウダイ | こしよおだい | コン | 佐伯市 甲1 #8,9 |
スズメダイ | すずめだい | ヤハゲ | 大分 甲1 #17 |
スズメダイ | にぎ | ヤハゲ | 別府市 H01 ※愛媛等の方言名より推定、ニギの名みえず。甲1にも記されていた。 ニギはある程度一般的な言葉であったろうと。 |
チダイ | ちだい | チダイ | 別府市 H01 |
チダイ | ちだい | チコ・チコダイ | 中津市 W02 |
ハマフエフキ | たまめ | クチミダイ | 別府市 H01 ※メイチダイとも、フエフキダイ科。 |
ヒゲダイ | ひげだい 髭鯛 | ヒゲダイ | 別府市 H01 ※イサキ科 |
ヒシダイ | ひしだい 菱鯛 | ヒシダイ | 別府市 H01 ※ヒシダイ科 |
ヒメダイ | ひめたひ | チシキ | 別府市 H01 ※ヒメダイ・オゴダイとも、フエダイ科。 |
ヘダイ | へだい | カモジン | 別府市 H01 ※同書に別途へだいを記す。 方言名無のため別種か?誤記かも不明のため注意。 |
ヘダイ | へだい | セジン | 中津市 W02 |
マツカサウオ | まつかさうお | マツカサウオ | 別府市 H01 ※キンメダイ目マツカサウオ科。 |
マツダイ | まつだい 松鯛 | アヲナ | 別府市 H01 |
マツダイ | まつだい | バン | 中津市 W02 |
マトウダイ | まとだい 的鯛 | ゼニイチ | 別府市 H01 ※マトウダイ科 |
メイチダイ | めいち | メイチ | 別府市 H01 ※フエフキダイ科 |
タコ類 タコ | たこ 章魚 | タコ | 大分市 17-51 |
タチウオ類 タチウオ | たちうお 太刀魚 | タチウオ | 別府市 H01 ※タチウオ科 ※九州ではタチウヲ(甲1 #1,2,3,68)と呼ぶ。 |
アカタチ | あかたち 赤太刀 | アカタチ | 別府市 H01 ※アカタチ科 |
イッテンアカタチ | いってんあかたち 一点赤太刀 | イッテンアカタチ | 別府市 H01 ※アカタチ科 |
ダツ類 ダツ | だつ 啄長魚 | ダズ、ダルボー | 別府市 H01 ※ダツ科。サヨリ系の名称を持つものもある。 |
ダツ | だつ | ダイガンジ | 九州 甲1 #2,14 |
ダツ | だつ | ダイガンジ、テラ | 豊前 甲1 #20 ※テラはダイガンジを簡単に呼ぶとき。 |
ダツ | だつ | ダイガンジ、テラ | 大分 甲1 #200 ※豊前と同じ。 |
タツノオトシゴ類 タツノオトシゴ | 海馬 | ウミウマかカイバか? | 大分市 17-51 ※ヨウジウオ科 おそらくは、ウミウマ。 |
タツノオトシゴ | たつのおとしご | リウグウノコマ、リウノコマ | 豊後国 甲1 A143 ※西国ではウマウヲ(甲1 A143)ともある。 |
タナゴ類 タナゴ | たなご | タナゴ | 大分市 17-51 |
ウミタナゴ | うみたなご 海鯽 | ウミタナゴ | 別府市 H01 ※ウミタナゴ科 |
トビウオ類 トビウオ | とびうお 飛魚 | トビ | 別府市 H01 |
トビウオ | とびうを 文鰩魚 | トビウヲ | 大分市 17-51 |
トビウオ | とびうお | トビイヲ トビヨ | 豊後国 甲1 #7 別府 甲1 #7 |
トビウオ | とびうお | トビイヲ | 豊前地方 甲1 #95 |
ナゴ類 イカナゴか不明? | こうご | コウゴ | 大分市 17-51 ※暫定ナゴ類♪ 全国的な方言分布も見ての予定。 |
キビナゴ | きびなご | イカナゴ | 別府市 H01 ※暫定ナゴ類♪ 全国的な方言分布も見ての予定。 |
ナマコ類 ナマコ | なまこ 海参 | ナマコ | 大分市 17-51 |
ハギ類 カワハギ | かわはぎ | ハゲウヲ | 大分県 甲1#11 ※カワハギ科。 大分ではハギよりハゲが一般的かつ総称。 ※ハギはもちろん剥ぎだが、履くも剥ぎに由来があるとされる。 |
ウマヅラハギ | うまづら | ナガハゲ | 別府市 H01 |
ウマヅラハギ | うまづらはぎ | ゴハギ | 中津市 W02 |
ウマヅラハギ | うまづらはぎ | オキハゲ | 佐伯 甲1 #8,14、甲2 #97 |
カワハギ | かわはぎ | マルハゲ | 別府市 H01 |
ハゼ類 ハゼ | はぜ 沙魚 | ハゼ | 大分市 17-51 ※淡水のハゼ類との比較は必要。 |
マハゼ | まはぜ 真鯊 | マハゼ | 別府市 H01 |
アナハゼ | あなはぜ | アナハゼ | 別府市 H01 |
イソハゼ | いそはぜ 磯鯊 | イソハゼ | 別府市 H01 |
ウロハゼ | うろはぜ | ウロハゼ | 別府市 H01 ※ハゼ科 クロハゼとも。ウロは洞だろうか? |
キヌバリ | きぬばり | ケンチャン | 別府市 H01 |
コモチジャコ | はらみじゃこ | ハラブトジャコ | 別府市 H01 ※じゃこからイワシの類かと?⇒ハゼ科 ※甲1により判明、コモチジャコに。 ハラミジャコは当時の標準和名かと。 |
コモチジャコ | はらみじゃこ | コモチジャコ | 別府 甲1#8,67 |
コモチジャコ | はらみじゃこ | ハラブトジャコ | 日出 甲1#8 |
クエ・ハタ類 アオハタ | あおはた 青羽太 | サカシホ | 別府市 H01 |
アオハタ | あおはた | モイヲ | 豊後佐伯 甲1 #7 ※混称多しとのこと。モウオ系は多魚種にて見られる言葉でもある。 下段の「ノミノクチか?」もモイヲなため、佐伯ではハタ類の総称として呼ばれていたのだろうか? |
アカハタ | あかはた 赤羽太 | サカシホ | 別府市 H01 |
マハタ | まはた 真羽太 | サカシホ | 別府市 H01 ※『以上羽太(赤青真の3種)を皆サカシホ』と記される。 アラ、クエ、ホウセキハタを含むかは不明だが、別名があったと思われる。 |
アラ | あら | アラ | 別府市 H01 |
アラ | あら | アラ | 大分市 17-51 |
クエ | くえ | クエ | 別府市 H01 |
ツチホゼリ | つちほぜり | ツチホゼリ | 佐伯 甲1 #7,8 ※佐伯方言が標準和名に♪ |
ノミノクチか? | ほしはた | モイヲ | 豊後佐伯 甲1 #7 ※魚種は要確認、ハタ類ではある。 |
ホウセキハタ | ほうせきはた | ホウセキハタ | 別府市 H01 |
ハモ類 ハモ | はも | ハモ | 別府市 H01 |
ヒイラギ類 ヒイラギ | ひいらぎ 柊 | ヒイラギ | 別府市 H01 |
オキヒイラギ | おきひいらぎ 沖柊 | オキヒイラギ | 別府市 H01 |
ヒメジ類 ヒメジ | ひめ・ひめじ | ヒメイチ | 別府市 H01、別府市・日出町 ☆ |
オキナヒメジ | おきなひめじ | ヒゲ | 豊後佐伯 甲1 #7,11 |
ヒラメ | ひらめ 平目 | オホグチ | 別府市 H01 ※ヒラメ科 ※カレイ類との比較検討が必要。 |
ヒラメ類 ヒラメ | ひらめ | オオグチ | 国東市 ☆ |
ガンゾウビラメ | がんぞおひらめ | ガンゾオヒラメ | 別府市 H01 |
ガンゾウビラメ | がんぞおびらめ | ベタ | 大分 甲1 #17 |
シタビラメ類 | うしのした 牛舌魚 | 靴底魚 クツゾコ | 別府市 H01 ※ウシノシタ科。シタビラメ類の総称かと思う。 |
フグ類 フグ | ふぐ 河豚 | フグ | 大分市 17-51 |
アマメフグ | あかめふぐ | アカメフグ | 別府市 H01 |
イトマキフグか? | いとまきふぐ | ハコフグ | 別府市 H01 |
カナフグ | かなふぐ | イソフグ | 豊後 甲1 A143 ※甲1に、西国ではフクトウ(A115)、フグトウ(A127)ともある。 |
カナフグ | かなふぐ | チブク | 豊前 甲1 A143 |
キタマクラ | きたまくら | キタマクラ | 別府市 H01 |
ギマ | ぎんば(銀馬と推測) | カタノヲカタナキリ | 別府市 H01 ※ギマ科 |
クサフグ | くさふぐ | クサフグ | 別府市 H01 |
ゴマフグ | ごまふぐ | ゴマフグ | 別府市 H01 |
シマフグ | しまふぐ | シマフグ | 別府市 H01 |
ショウサイフグ | しょうさいふぐ | ショウサイフグ | 別府市 H01 |
シロサバフグ | さばふぐ | サバフグ | 別府市 H01 |
トラフグ | とらふぐ | クロ | 豊後杵築 甲1#7,11 |
トラフグ | とらふぐ | ケシフグ | 豊前中津 甲1#7 |
トラフグ | とらふぐ | ゲンカイフグ | 大分県長洲 甲1#8,40 ※長洲は宇佐市長洲で良いと思う。 |
トラフグ | とらふぐ | ホンフグ、モンフグ | 別府 甲1#7,11 |
ヒガンフグ | ひがんふぐ | ヒガンフグ | 別府市 H01 |
ホシフグ | ほしふぐ | ホシフグ | 別府市 H01 |
マフグ | まふぐ 真河豚 | マフグ | 別府市 H01 |
ブリ類 ブリ | ぶり | ヤズ<ハマチ<ブリ | 大分市、杵築市、国東市等 ☆ ※成長魚・出世魚の代表格。 ※九州地方ではシロバラ(甲1 #11,12)、ハナジロ(甲1 #17)、オオウヲ(甲1 A138)。 |
ブリ | ぶり 鰤 | 幼=ハマチ | 別府市 H01 |
ブリ | ぶり 鰤 | ブリ | 大分市 17-51 |
ブリ | ぶり | シオ(小) | 豊後網代浦 甲1 ※「漁村語彙」より。 |
ブリ | ぶり | シュントク | 豊後大島 甲1 ※「民間伝承」110より。 |
カンパチ | かんぱち | アカバナソヂ | 別府市 H01 ※九州ではアカバナ(甲1 #8)。 |
ヒラマサ | ひらまさ 平政 | ヒラソ | 別府市 H01 ※九州ではヒラス(甲1 #8)。 |
ヒラマサ | ひらまさ | ヒラソー | 佐伯市蒲江 ☆ |
ベラ類 ベラ | べら 遍羅 | ギザメと総称 | 別府市 H01 ※「にじべら、きゆせん、せとべら、にしきべら」以上を云う。 |
イラ | いら | モムシダイ | 別府市 H01 |
オハグロベラ | おはぐろべら | ギザメ | 豊後佐伯 甲1 #7 ※ベラ類の総称 |
キュウセン | きゅうせん | ギザメ | 国東市 ☆ ※ベラ類の総称 |
ホウボウ類 ホウボウ | ほうぼう | ホウボウ | 大分市 17-51 ※カナガシラ類と総ずるべきかと考察中。 |
ホウボウ | ほうぼう | コノウオ、ホコノウオ | 【参考】九州 W02 |
ホウボウ | ほうぼう | コノウヲ ホコノウヲ | 【参考】九州 甲1 #12,19 【参考】九州 甲1 #11 ※カナガシラとの混称ありという。 |
ボラ類 ボラ | ぼら 鰡 | 1年子 イナ 2年子 シクチ | 別府市 H01 ※ボラ科。成長魚。 |
ボラ | ぼら 鯔 | ボラ | 大分市 17-51 |
ボラ 幼か? | ゑぶな | ヱブナ | 大分市 17-51 |
メナダ | めなだ | オキボラ 沖鰡 | 別府市 H01 |
マグロ類 マグロ クロマグロ(ホンマグロ) | まぐろ | シビ | 別府市 H01 |
キハダマグロ | きわだ | シビ | 別府市 H01 ※九州地方ではバシビ(甲1 #11,14,56)と呼ぶ。 |
コシナガマグロ | こしなが | トンガリ | 九州 甲1 #95 |
スマ(ヤイト・スマガツオ) | すま | スマ | 別府市 H01 ※九州ではウラマワリガツヲ、セガツヲ(甲1 #11) |
ビンナガマグロ | びんなが | ヒレナガ | 別府市 H01 |
メバチマグロ | めばち | メバチ | 別府市 H01 |
マンボウ類 マンボウ | まんぼお | 別府市 H01 | |
ムツ類 ムツ | むつご | ムツゴ | 大分市 17-51 ※ムツ類の総称かと思われる。カワムツ(淡)も考慮に入れるべきかは今後の調査次第。 |
ネズッポ類 ヌメリゴチ | ぬめりごち | ヌメリゴチ | 別府市 H01 ※ネズッポ科、ネズッポとも。ネズッポ(ヌメリゴチ)類としておく。名称からはコチ類でも良いとは思う。 |
メジナ類 メジナ | めじな | メジナ | 別府市 H01 |
メジナ | めじな | クロ、幼=コッパグロ | 大分市 ☆ |
メジナ | めじな | クロウオ クレ・クロ クロダイ | 大分県 W02 九州 W02 佐伯市 W02 |
メジナ | めじな | クロイヲ クロウヲ | 大分 甲1 #8,11,200 大分 甲1 #8 |
メジナ | めじな | クロイヲ クロダイ | 大分 甲2 #97 佐伯 甲2 #97 |
メバル類 メバル | めばる | メバル | 大分市 17-51 ※メバル科、2008年 メバルが3種(シロ、アカ、クロ)に分類。各方言にも色が見られるが、同定する要があるかは分からない。 ※メバル類、ソイ類、カサゴ類は総称が見られるとこもあるため、地域毎に注意していきたい。 |
メバル | あかめばる | アカメバル | 別府市 H01 |
タケノコメバル | たけのこめばる | タケノコメバル | 別府市 H01 |
ヤガラ | やがら 矢柄、箭柄 | タイホウギョ | 別府市 H01 |
ヤガラ | やがら魚 | ヤガラ | 大分市 17-51 |
? 不明 | たかのは | エノミダイ | 別府市 H01 ※タカノハダイ、コロダイ、マツダイ? 記述からタカノハダイ、方言からコロダイか? |
? 不明 ヒラか | ひらいわし 平鰯 | ヒラ | 別府市 H01 ※宮城県でマイワシを云う。魚種不明だがヒラのことか? |
? 不明 | ぎやふ | ゴリゴリシイ | 別府市 H01 ※甲1 1051 シロウヲを伊勢・四日市ではギャフと呼ぶとある。 シロウオとシラウオの確認か? |
? 不明 カレイ類か | かわがれい | カワガレイ | 別府市 H01 ※魚種不明。 W02にて、ヌマガレイ他あったが生息地が合わない。 |
? 不明 タイ類 | せたい | セタイ | 大分市 17-51 ※延岡や下関にてセタイはヘダイを、中津や玄海ではセジン、セチンと呼びやはりヘダイなので、ヘダイの可能性は高い。 |
? 不明 タイ類 | かうこたい | カウコタイ | 大分市 17-51 ※他所(熊本)では、ヒゲダイ、コショウダイ、セトダイ辺りを呼ぶが不明。 |
? 不明 ソイ系魚か | もぶし | モブシ | 大分市 17-51 ※鹿児島にモブシ=オオモンハタとあるが不明。 |
? 不明 | 赤ふう | アカフウか? | 大分市 17-51 ※赤い+フウという魚名だろうが、フウが不明。 |
? 不明 | 田魚 | タウヲか? | 大分市 17-51 ※肥前では『たうを』はめだかのことというが、海魚の為異なる。 イワシも記されているため別魚かもだが、イワシ類の幼魚かもと。 |
? 不明 | 青魚子 | 不明? | 大分市 17-51 ※『物類称呼』にて青魚表記はニシン、カドとされ筑紫(福岡)では高麗いわしと呼んだというが生息域から不明とする。 鰤の子であるモジャコ等を云った物かもしれない。 |
【凡例】
●収集魚名・漢字の項では、史資料の場合は方言に対応する一般名稱もしくは方言等を記している。
●汽水域や海水に見られる魚も史料によっては記載されているので、記載があるものは淡水魚の項に入れる。そのため、一部は海産魚と重複する。
●資料番号は下記の史資料一覧頁による。
●サーバーとの関連で対応できない一部の漢字は魚+〇等で示した。
【注意事項】
●史資料により調査の正確性に差がある上、時間をある程度遡ることも目的の一つなので、魚類学等の分類は参考にしつつ、できるだけ一般的な名称を基にした分類をしている。
●標準和名や詳細な魚類の分類も学会等によるものであり、往時を過ごしてきた人々とその言語を考察していく上ではあまり重視する必要はないと考えている。また、差別等で変更になった標準和名及びその変更背景も研究対象である。
●資料等では旧国郡名及び旧市町村名等が出てくるが基本的にはそのままとした。平成の大合併等もあって分かりにくい部分もある点は今後の課題。
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