九州と四国のイワナ 釣り場の広がりと伝承を整理しておく

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祝子川支流のイワナ

イワナと云えば深山幽谷に棲む魚。
現在の九州や四国にて釣れるトラウト類の中では地域的にもエノハやニジマスに比べても希少性が高いのか、九州の渓流・トラウトファンにはちょっとした人気があるようだ。

のべ竿道を閉鎖し本館にて再掲を考えた際に、修正の必要がある記事の一つが「九州イワナの天然分布に関する民俗学的考察序」。

書き直すためにも、一度しっかりと整理して、それに魚名方言の調査・研究を含めてより歴史民俗の知見をはっきりとさせたいというのもあるし、書いておこうかなっと♪

九州・四国で釣れるイワナの現況

さて、憧渓がイワナに初めて出会ったのは、30年近く前に四国でアマゴ詣でをしていた頃のこと。
高知県土佐郡本川村吉野川水系桑瀬川で、釣友が早朝の一投目に投げたブレットンに尺クラスのイワナが喰いついた。

「九州や四国では出会うことはない」とか「ヤマメやアマゴよりも奥深い山奥に棲む魚」そんなイメージのみが先行していたイワナとの出会いだった。

当時は東北、日本アルプス、黒部などが釣行の候補(あくまでも候補です、キリ!)でもあったので、「なんだ、行かんでも釣れるんや」と喜んだ記憶がある。
トラウトフィッシング命ととか狂信的トラウト教信者とまでいかなくても、九州や四国の釣り人ならなんだか釣ってみたくなる魚だろう。

んぢゃ、研究・情報、九州、四国に分けて整理していくのであるんである。

九州のイワナに関する研究や情報

渓流釣りファンからすれば意外な感が強いかもだが、魚類研究の中でエノハ他サケ・マス類の研究というのは少なかった。

学生当時にアメゴの研究資料を教えてくれたI氏も笑って、
「金にならん研究は、やっぱ進まんちや」とw

これが全てを表している訳で当時からカリカリしていたが、鮎などの現状をみるとさもありなんと思うしかない。
実際に魚屋の店先に並んでも1匹の単価安いしなぁ、ヒラメ、タイ、ブリなどが進んだのも分かる。
それでも最近は以前よりも増えているように感じるのは、寿司屋のサーモン人気も影響があるのかもなんて感じている。

ググれば、すぐに出てくるのだが幾つかWEB上にある情報を紹介しておこう。

歴史民俗一辺倒の憧渓は魚類学に詳しいわけではないけれど、貴重かつ釣り人にも興味を惹く内容の研究をしているのが宮崎大学農学部の岩槻幸雄教授の研究だったりする。

九州や四国のイワナは全部移入・放流か? 自然分布のイワナが九州•四国には本当にいないのか?

ロマンのあるイワナの自然分布の調査・研究をされています。
教授の研究室では九州のヤマメ・アマゴに関する研究も進めているので、興味のある方は是非ご覧くださいませ。

九州のイワナについて(Memories of the Dragon)

こちらは岩槻教授の調査・研究にも関わっていたと思われる方の記事。
イワナの写真が見事です♪

九州の球磨川上流域に移入されたイワナの分布域拡大と繁殖

こちらは近藤卓哉氏らによる共同研究報告で、近藤氏には大野川のイワメ関連他の研究報告もあります。以前、かなり教えていただきました。

また、明治期にも記録があったという話もあったのですが文献名すらわからないので、現時点での文献における九州イワナ生息の初出は次の書籍としておきます。

「祖母嶽」1925(大正14)年 秀英社 百渓碌郎太著。

この他にも釣果だけなら、ブログやSNSなどにて出てくるはず♪

九州地区のイワナ釣り場と伝承

さてさて、渓流釣り好きな自分の情報網の中にある九州のイワナ釣り場は意外と広い。
北部九州から順に列挙すると大野川、白川、緑川、祝子川、五ヶ瀬川、球磨川、耳川となる。

古今問わずに放流したという話なら、上記以外に山国川と大分川も加わる。
憧渓が大分県在住というのもあるので、その他の各県にもあると思う。

エノハ釣り場として有名な河川のほとんどであるということに笑うしかないわぁ。
多分源流好きになった初心者でも開拓を重ねれていけば、間違いなくイワナ釣り場に当たると思う。
興味のある人は、上記リストから探り当ててほしい(^^)。

ここで意図的に外したのが福岡県と佐賀県であり、20年近く前からこの方面でのイワナ情報が入ってきていた。
ところが淡水魚名方言を探しつつ、何気に読んでいた佐賀県の淡水魚のニジマスの項にも伝承っぽく記されているのが嘉瀬川と松浦川支流の厳木川。

記事内では40年ほど前とされているが、筆者が得ていたのは昭和50~60年前後の話なのでおおよそ同時期かなと。
既に居ないともされているが、なにやら怪しい情報もあるので行きたいと思いつつ既に20年が経ってしまった…。

今は福岡・佐賀県の若手渓流マンに期待しておく♪ 頼むぜと^^

四国地区のイワナ釣り場と伝承

先述したが高知県本川村(現吾川郡いの町)がイワナと初めて出会った場所。
川で云えば徳島県から高知県にかけ四国山地を貫いて流れる四国三郎こと吉野川水系。
その後も吾川郡・土佐郡他、点々と吉野川の小さな支谷で出会ったことがある。

三郎ということで筑紫次郎こと筑後川と比べたくなるが、流程・流域面積とも三男の方が大きいのはナイショ!w

イワナに関して詳しいのは「四国の渓流釣り」の記事「四国の岩魚」で確認できるので一読を。

この記事内にも記されているけれど、トラウトマニアは読んでいるだろう佐藤成史氏の著「瀬戸際の渓魚たち」に四国イワナの放流に関する話がでてくる。

それによると、昭和48年に吉野川水系桑瀬川の上流に、富山県産イワナ2千匹が放流されたと。
また当時の寒風荘にて養殖されていたイワナが昭和52年の台風で桑瀬川に逃げ込んだそうだとも。
後は釣り人の手によって本川村内の各支流、近くの嶺北地区、加茂川などへ放流がされたようだ。
※参考 『四国の岩魚』

これについては食堂などにイワナの魚拓もあったけれど、当時の渓流釣り雑誌にも同様の話が記されていたのを読んだ。
渓流仲間と読んで「やっぱ、そうだよなぁ」と、当時もなんとなく残念な気持ちになったものだ。

それでも、イワナの魚名方言を調べていた時のこと、気になるものが見つかった。

四国地方の魚名方言でイワナは、

アメゴ(イワナ) 土佐地方。甲
ヤマベ(イワナ) 土佐郡地方。甲
クロマス 四国。☆

と呼んでいたようだ、ギョギョ@@ギョギョである。
これらは考察と裏付け資料の確認が必要なのでこれ以上は触れないが、面白くなったもんだなと♪

吉野川と云えば四国だろ!

九州と四国のイワナに関する状況はとりあえず整理できたかも。
できれば、フィールドワークに出かけたいものだが中々に難しいのが辛い。

で一つ愚痴なんだけど、イワナの魚名方言調べた時のことっちゃ。

魚名方言で絶対外せん「日本魚名集覧」ちゅう渋沢敬三先生の書があるわけで、その中に「キリクチ 吉野川」ってあったんよ。
喜ぶやろw 吉野川っちいうたら四国やけんね、四国んしにとっちから。
キリクチ(魚名方言)が紀伊水道渡っちょったんかえええええ!となったんやな、一瞬。

でも、冷静になったら「奈良県の紀ノ川水系のことや…」と思いあたったんで、「あぶね~」っちなったわな。
まぁ、そらそうやわなぁ…。

渋沢先生、もう少し県名とか記してくれてるとありがたかったのであるんである。
ちなみに祖父が渋沢栄一っちゅう、大河ドラマの主人公やなw

まぁ、九州四国のイワナ関連はこれからも調査が要るので、伝承等あれば教えていただきたい♪

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