大分県日出町豊岡漁港内の漁協関連施設南側、小さくも鎮守の木々を思わせる中に大石が2つ鎮座している。
話を伺った限りでは特に名称だったり古くから信仰の対象であったとというものではないようだが、地元の方がお参りをしていると云う。
何度となく釣りには訪れていたものの、大石を見るのは今回が初めてとなった。
【豊岡漁港の大石、位置とルート】
国道10号線でHotel & Resorts BEPPUWANへの道が交差する小浦交差点が一つの目印、そこから北側にある豊岡漁港入り口交差点を海側へと入り、道なりにホテル方向へと進みJFの施設を目指せばその奥側に大石が鎮座している。
公衆トイレもあるし、コンビニも徒歩の距離、駐車スペースも十分で釣りに磯遊びにと楽しめる穴場スポット♪
遊びに来た際は、大石にお参りして豊漁と安全祈願なんてのもいいかもしれない。
すぐそばにあった「まんぷく笑店(写真上の右側建物)」さんでは、総菜類を売っていたので夕食のおかずを幾つか入手、とり天が特に旨かった、ごちでした♪
二つの大石とその姿
豊岡漁港と云えば根魚類をはじめとして、チヌ、アジあたりを狙っていた海釣り塲でもあり、投げ釣りのキス、カレイにルアーでのスズキやイカなども面白そうだったりする♪
釣行回数自体は多くはなかったけれど、亀川港から日出周辺の各港を巡りながら立ち寄る感じだったかと。
車をスロープ奥側の広場に止めてJF(漁協)施設の横へと向かえば、木々の間から祠や大石が見えてくる。
大石の裏側は国道10号線が走っているので、思いのほか賑やかな感じ。
そのまま進めば大石が二つ迎えてくれた。
入口から向かって右側の大石は背中に乗って遊びたくなってしまう、牛や馬などの名前が無いのが不思議なくらいだ。
一方で左側の大石は大きなエグレが目立ち、下部に大黒様と御猿の像が安置されている。
「巨石!」であるとか「存在感が!」などといった感じを受ける大石ではないけれど、漁港と地域の暮らしを静かに見守っているのがヒシヒシと感じられる場所だ。
元々豊岡漁港の大石は…
名称や由来が気になっていたところ、運良く近くにいた地元の方にお話を伺うことができた。
その方によれば、「漁港が整備される以前は海にあって、子どもの頃は海遊びがてら大石の上に乗って遊んだりしていたよ、名前とかは特になかったなぁ」、とのことだった。
どの漁港の工事でも有り得そうな石の大きさなのだが、何の謂れもない石をわざわざ移設するのだろうか? という疑問をもってしまう。
しかも、ただ移設するだけなら邪魔にならない場所に置くだけで良いはずだが、石迄の道をコンクリート舗装し、周囲を木々で覆うという丁寧な安置をしている状況を見ると何の謂れもない石に対する扱いには見えないような気がする。
もちろん応えてくれた人が知らなかったり、今に伝わってない話もあるものだしなと。
ただし、一つ気になったのが向かって左側の大石の裏側に残された石割の矢穴痕だった。
上写真から分かるように石割の痕がある。
この穴をあけた時期こそ不明だが、割るのを止めた何らかの理由があったのかもしれない。
※祀っている中に石割痕が残るものも、ままある例とも言うけれど♪
江戸期の日出町は鳥居等の寄進が盛んであり、石工も多かったとされる。
この移設には、もしかすると何らかの地域的な石に対する心意・信仰心が働いたのか? とか神威・怪異現象的なものがあったせいだったのか? などといった妄想も働くが現時点では分からない。
別件で予定している周辺の史跡・古道・方言調査の際にでも追加情報を聞くことができればなぁと思っている。
移設に関しても特筆されるような伝承がなかったとしても、現状から窺える丁寧な作業をみるに、かかわった人々の大石に対する愛情も伝わってくるというもの。
日出町豊岡周辺の巨石・大石と信仰
さてさて、個人的な諸々の妄想は別にしても、豊岡漁港にある二つの大石が丁寧にお祀りされていることは写真を見ても分かってもらえたと思う。
※ちなみに大石の場所は、大字豊岡でなく大字平道の模様。知らんかった♪
そこで日出町西部大字の豊岡、平道、南畑を地図で見ていけば、大石、頭成(かしらなり)という旧地名があり、山田湧水傍の伝こけし石、大山積神社本殿裏の巨石、七つ石山、城山真嶽城跡等の大石や巨石の存在、経塚山、尼蔵岳(びぞうだけ)と云った仏教関連山名等々、大石と信仰に関して気になる場所が多いことが分かった。
少し範囲を国東半島から旧宇佐・速見郡方面に広げてみると、豊後高田市猪群山と杵築市山香町下山の環状列石、宇佐市佐田京石などの不思議な巨石遺構、別府市の立石、姫山にあるメンヒルと呼ばれる立石、十文字原遺跡にあったとされる石敷遺構、宇佐市雛戸山の命名巨石、御許山の磐座などを代表とする大石と信仰に関する場所が多数存在している。
これらの諸存在から、国東半島から宇佐・速見地区に「巨石と大石を巡る何らかの(民間)信仰心」の存在が現時点では想定できる。
この豊岡漁港の大石はこれらの巨石群とは違い歴史こそ古くはないものの、近現代にまで残っていた地域の人々の大石への信仰心的なモノが漁港工事の際に顕されたのかもしれない。
う~ん、しっかり大石をお参りしていれば此処で「もっと釣れてたのかもしれない」などと思いつつ、この日は豊岡漁港を後にして山田湧水近くの伝こけし石へ向かうことにした。
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