~鮎タイツ・ウェーディングシューズとソールの種類~
立ちこんでの本流釣りやシャワークライムまでを範囲に入れながらの源流釣行を主とする渓流釣りの場合は、装備にウェーダーを使うには荷が重い場面がでてきます。そこで使用するのはウェーディングシューズや沢靴と呼ばれる靴類やタイツと呼ばれる体にフィットするタイプなどの装備です。
個人の趣向ですが筆者は渓流釣りにては、濡れることを前提にした装備を愛用しています。解禁当初の寒さは諦めて行かないか、気合で耐えることとして、鮎タイツに鮎足袋がメイン。いい加減年を考えないといけませんがww。
前頁ではお手軽なウェーダー類を中心に紹介しましたが、今回はウェーダーでは暑くなってきたり、長距離の移動を前提にしたいという方に使って欲しい渓流釣りの装備です。
ソールの種類は、ラジアル・フェルト・スパイク付の3タイプ
前項で紹介したウェーダーのソール(靴底)にも同じものが使われているので、靴を紹介するこちらにて一括して取り扱っておきます。自分にあったサイズなどと同様にしっかりと特性を理解し、購入の際にはご注意ください。
【ラジアル】
ゴム・ラバー製のものを総称してラジアルなどというようだ。釣りやアウトドア用の物は通常の靴底より滑り難いように凹凸と排水用細溝が入っている。登山靴でも分かるように歩きやすいのが特徴、釣りでは特に砂地に有効でサーフなどが得意箇所だろう。
参考画像:シマノ
ウェーダーのブーツタイプ(一体型)にラジアルソールで沢の中を歩くことを考えたときに、苔が多い岩のある川や雨後などでは滑りやすくかなり危険。渓流釣りにおいては開けた箇所、ガラガラと岩のみが転がる川原や他の釣りからの兼用でと言うこと以外に使用するメリットはあまり無いと思う。
入渓地点まで片道1~2時間を超えたりしてくると話は変わり、かかともあるため歩きやすいのがメリットとなる。特に最初は軽めの登山靴を履いて軽快に距離を稼ぎ、釣り始める時には下記の沢靴などに履き替えるとどちらの行程でも快適になります。ブーツタイプ(一体型)ウェーダーではなく、ストッキングタイプなどの使用前提かつ荷物は増量^^。
【フェルト】
フェルト生地をソールに使用したもので硬いスポンジのように感じるでしょう。ウェーダーのブーツタイプ(一体型)をはじめ、鮎足袋・沢靴などで使用されており、渓流釣りの基本的なソールと考えていいと思う。
参考画像:がまかつ
苔や岩場に強く沢での遡行全般で強力な味方になってくれる。上写真で分かるように底は平面となっているが、これは足の裏で地面や岩を掴む感覚で転倒しないよう歩くためと思ってほしい。もちろんだが、滑るときは見事に「スッテ~ン」と谷に音を響かせて滑る。まぁ「ラジアルよりは多少マシだ」と思っていた方が過信に繋がらなくて良いと思う。
歩くときだけでなく掃除の際にも砂や水蘚がスポンジ状の中に溜まっていないかに注意しておくと、弱冠ながら滑りの予防になると思う。またアスファルトなど地面の固い場所では本体が減りやすいことも難点だろうか。
参考画像:シマノ
上記参考写真のように、釣具メーカーの商品ではフェルトソールの一部分がカットされたタイプが多くなっている。筆者は平面タイプしか使用してないが、歩きやすく足裏が自由な気がするなど概ね好評のようだ。ただし切れ目部分に小石・小枝が入ることには注意をしておきたい。
【フェルト+スパイク】
カットタイプの登場と同じくして釣具メーカーを中心に渓流釣りにも送り込まれてきた商品群。言葉通りだが、フェルトソールの中にスパイクを埋め混み、水濡れに強いフェルトと岩を噛むスパイクの良いトコ取りなタイプといえる。
参考画像:シマノ
上記紹介のシマノの商品は、マジックテープでソール自体を張り替えることができるタイプであり、用途に合わたり、痛んだりしたときに手軽に交換することができるのはありがたく、ソールの張替え可な商品を購入基準のひとつにしても良いと思います。
渓流釣りでは基本としてフェルト底の物を購入しておけば、中本流から上源流までと場所を選ばずに楽しめると思います。
鮎タイツ(フィット・スリムタイプのウェーダー)も考慮に入れよう
前項では紹介しなかったウェーダーがこのタイツ系のものでネオプレーン製。商品名としては鮎タイツ、フィットウェーダー、スリムタイプウェーダーなどで検索すると良いでしょう。基本的にタイツは足首までのもので、フィット・スリムは靴一体型もしくはストッキングタイプのものとなります。
【鮎タイツ】
まずはタイツ系で、よく鮎タイツなどと呼ばれていると思います。フィット感抜群で水の抵抗が少なく、鮎の友釣りなどでも良く使われているもので、靴には鮎タビや沢靴を組み合わせて使用します。
参考画像:シマノ
パンツ一丁にその上から履くのが基本形で、当然ながら夏は暑く、冬は冷たいですw 密着度が高い分、脱着が最も面倒で手軽とは言い難く、ウェーダーと比べても長距離移動は苦手。激流でも竿を放さず流され下る覚悟を持った方にのみオススメするタイプとでもいっておきます。
【フィット・スリムタイプ】
こちらも鮎タイツとほぼ同じと考えてよいですが、腰上から胸まで浸からない限り水が入らないため解禁初期も使いやすいのが特徴。当然夏場は蒸れとの勝負になる覚悟は必要。
参考画像:シマノ
鮎タイツ、フィット・スリムタイプとも鮎との兼用や中本流域が得意で上流域でも使えます。最近の渓流釣りの番組を見ているとエサ釣りの人が最もよく使っている人気の商品と言えるのではないでしょうか。
ちなみに上記参考写真だとジオロック・スリムウェーダー(中割)とありますが、中割とは地下足袋のように親指部分のみが独立しているものの外見は一つのものを言います。
沢靴・鮎足袋にズボンを組み合わせる
陽光が強まり木々が芽吹き水温が安定してくると、ウェーダー系の装備は脱着の手間こそ無いものの川歩きの面倒さが目立つようになる。長距離の移動、機動性の確保といった点からはズボンに沢靴・鮎足袋にすねと足首を保護するガード(スパッツ)の組み合わせがベスト。携行や掃除など釣り以外の手間は増えるものの、快適な川歩きが楽しめる。
筆者よりも上の世代を中心に沢歩き(渓谷師・沢屋)と言えば、地下足袋に草鞋が定番だったと思う。一時期使用していたが、岩を掴む感覚、フィット感と滑らないことのみに重点を置くならばこの組み合わせが現在でも最高だろう。興味のある方は自作の草鞋で沢登を楽しんだ渾身のレポート『絶対に滑らない最強「足袋×わらじ」』をぜひ読んでいただきたい。
しかし問題も多く、素材自体が柔いために岩で足裏が痛くなったり、親指を痛めやすかったり、距離にもよるが磨耗も激しく一日の釣行でも予備をもっていたほうが良くなることだろう。
ということで渓流釣りの遡行で現在の主流と言えるのは、鮎足袋やウェーディングシューズ。フェルト底全体でしっかりと地面や岩をホールドして突破していきたい。
参考画像:シマノ
参考画像:mont-bell
最近の筆者はお財布と相談の上、1年ほどで極安(w)の鮎足袋を履き潰しつつ新品に取り替えている。特に沢靴系のウェーディングシューズは下記のようなネオプレーン製のソックスを中履きとして購入しておいた方が良いいだろう。
参考画像:シマノ)
フライフィッシング系で販売されているウェーディングシューズも使い勝手はよく、ファッショナブルなものもあって人気は高いと思う。デザインと作りこみが気に入ってリバレイのものを3年ほど使ってみた時期があったが、フェルト・ラバー問わずに大抵かかとが付いているようで、長距離の移動や尖った岩に食い込ませたり斜面の安定感など、今思えば安心して使えたように思う。
ただ源流を上へ上へと目指し高巻きが連続するような箇所なら、沢靴や鮎足袋に軍配があがる。かかとがある分の設置面の少なさとつま先の反り返りで岩などのホールド感は薄いのは残念だった。
今筆者がオススメするなら、モンベルのサワタビとサワーサンダルの組み合わせかな♪
スパッツやレッグガードでしっかりとかためる!
「濡れて上等かかってこいや!」とズボンにウェーディングシューズの場合、すねのガードと水流低減のためスパッツ(レッグガード)をつけた方が良い。地下足袋時は脚絆を使っていたが、いまでも悪くはないだろう。
気持ちだが足回りのマムシ対策になることも付け加えておく。
▼画像=
参考画像:mont-bell
ズボンはDIYなどで厚手の作業ズボンでも十分なのは今も昔も変わらずだが、少しは気を使いたいと言うならアウトドアショップなどの沢用・登山用のズボンから目が細かく耐久性の高いものを選ぶのがいいだろう。
初心者は手軽なもので十分です
どれだけ薦めても、実体験には勝てませんw
初心者や入門者の方は、まず通常の一体型ウェーダー底フェルトで渓流釣りを始めてみましょう。
その中で、「蒸れるの嫌だなあ」とか「歩きにくい」、「これなんとかいけるじゃん!」、「ラバーのピンソールもありだな~^^」なんて感想を持ってくるでしょう。装備を釣り場に合わせる必要性も出てきたりしますのでね。
水を恐れず、侮らず
の心で安全に気を配って楽しく渓流釣りをしていきましょう♪