解禁釣行を終え、疲れた体を引きずって家に帰った。
サイトをあたる力もないが、とりあえずメールを開いてみると熊本のmasaさんからのメールが入っていた。
そこには、?? な、なんと50オーバーのニジマスの画像が添付されているじゃないですか!!
~2005年 エノハの渓へ第3話~
ニジマスを狙っての釣行
疲れていて眠かった目もいきなり冴えるってもんでしょ~!
あわてて電話をし、詳しい話を聞いてみた。
M:「どっすか? 綺麗っしょ? でかいっしょ?」
憧:「お、おぉ、すげえとしか…」
M:「○○川なんですけど、知ってますか?」
憧:「詳しく、教えてくだされ~!」
ゴニョゴニョ、ハテサテ、フムフム@@!
なんて、ヤリトリの後で詳細が見えてきた。
彼の話によると、そこのニジマスは再生産ができている様子(後の調査では判然としていない…)で、産卵のために上がって来ているように思われる。
人が沢山入れるような大きな釣り場ではないが、開けているので竿は振り易い。
ルアーでゲットしたそうだが、ニジのアベレージは尺前後から上。
エノハの魚影は薄いとのこと。
竿がしなるとはこのことだったのか…。
ということでチンの字とともに出撃。
現場にてmasaさんと合流してから入渓。少し歩いてから、川へと降りたった。
3人で釣り上がるが、中々反応が無い。
そこでチンの字が一言、
「サイズは任せますんで、僕は結果を求めます(笑)」などと、細かな釣り方に変えて攻め始めた。
幅5mほどの瀬が落ちてからの広々としたたまりの前で竿を出すでも無く休憩しているおいら。
手前より奥側に弱めのブッツケがあり、流れは岩にではなく下のヒラキへと泡立たないがはっきりとした流心を形作っていた。
チンの字はその流心へと仕掛けを入れた。
それをぼんやり見ていたおいらの目に彼の目印が水中へ「スッ!」と引き込まれるのが映った…。
「あ!?」
/_/_/_/_/_/ チンの字の仕掛け _/_/_/_/_/
■竿=シマノ「天平」5.3m硬中硬
■糸=天上糸2本ヨリ1.5m、
ハリス部分バリバスゲーム2lb(0.4号)4m弱
■オモリ=やわらか君 G1~B号
■ハリ=がまかつヤマメバリ8号
■エサ=ミミズ
/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
「き、来ました~!」と、普段あまり叫ばないチンの字が大声を上げた。
竿が綺麗に絞られ、大きな弧を描いている。
引きの具合からは一瞬大物のコイかとも思えたが、水中でぎらついたのを見たチンの字は「ニジでしょ~!」と確認の声をあげる。
彼の必死のヤリトリは続くが、魚は一向に弱まる気配を見せない。
焦っているおいらやmasaさんを尻目に、彼は冷静に魚をいなしている。
ルアーでもスズキの90cmオーバー(どうせおいらは80cmアップどまりさ、スネスネ)などの大物を釣っている経験は焦りを生まないようだ(笑!)。
多少寄せては沖側へ、ということを何度繰り返しても急がない姿は落ち着いたものだった。
しかし彼もまぁ舐めたもので、
「どうなるか分からないので、タモは憧渓さんの借りますから」なんてこの釣りに臨んでいた、全くオイオイです。
「取り込み、頼ンます~!」という言葉に、
「お、おぉ」と応えたものの、タモ係としての責任は重大じゃん。
サイズは分からないが中々寄ってくるものではない。
それでも5~6分ほどは経った頃だろうか、岸際まで寄せることができるようになった。
タモを準備して待つおいらは、短気者かつ性急な人間。
目の前に来ては逃げることを繰り返す魚に苛立ちは沸騰寸前!!
しかし、チンの字の大物だと何度となく自分に言い聞かせ、ハリスを掴んで手前に引っ張ることだけは押さえられた(爆!)。
観念したかなんておいらにも分からないが、目の前に来た魚体にタモ入れは成功。
30cm径のタモ内で窮屈そうに体躯を曲げたニジマス。
ミシリと重みがタモからは伝わってきた。
どうぞとタモごと彼に渡したが、渓流タモが魚体の重みで歪むってことは初めて知らされた…。
こんなニジマスが釣れれば、もう何も云うことはないでしょう。
ダムなどでもなく、ここは九州内の普通の川。
大物ニジマスの情報は幾らでも耳にはしていたものの、実際に目にしてみるとただただ呆然です。
ぴったり50cmでした、彼の気力に脱帽です♪ オメデトサン。
各ヒレのハリ具合、体高、文句の無い1匹デス。
再びの出会いのために放流ですが、一応こいつも外来魚なんでねぇ、3人とも色々考えさせられました。
ちなみにチンの字が、「次に出会ったときは、剥製にされることを覚悟しとけよ~」などどと云ったかどうかは定かではありません。
ニジマスの50cmオーバーがおいらにも釣れた!
興奮も冷めないまま上流へと釣りあがったけれど、おいらには何の反応もありゃしません。
午後3時も回ったので一度下までくだり、先ほどのポイントに戻って竿を出してみた。
正直なところ、おいらも絶対に0.4号で獲りたい! そんな思いは至極強かった。
すると下流側の浅瀬に、反転する魚体が確認できたので仕掛けを馴染ませてみたら…。
/_/_/_/_/_/ 憧渓の仕掛け _/_/_/_/_/
■竿=シマノ「渓峰」ZD5.3m硬中硬 穂先は回転式のリリアンに変更
■糸=天上糸 鮎用0.8号 1m、
ハリス部分バリバスゲーム2lb(0.4号)4.5m弱
■オモリ=バリバスエコオモリ 2B号
■ハリ=グラン キジブドウ虫 2号
■エサ=ミミズ
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目印が止まってる?
と竿を聞き合わせしてみると半身を川面からせり出すように魚が暴れ始めた。
お、おいらにも来てしもうた~♪
チンの字のヤリトリを見ていたので、沖側の流れの強い場所に出して下られなければ絶対に獲れるとは確信していた。
ただし、手前側の流れの廻りには岩や沈み石が多いので糸スレには細心の注意を払い、竿はしっかりと立ててヤリトリをした。(メインで使っている5.3の硬中硬クラスで竿を寝せすぎると、向う走りを止めるパワーが無くなると思っている)
また先日細山御大の記事を読んでいた時に、『できるだけその場から動かず魚の走りを止める気持ちが大切だ』、そう読んでいたことも頭をよぎった。
ただしどうしようもなくなれば下るんだとも覚悟は決めていた。
もしこれが1発めならおいらもバラしていたかもしれないが、彼が獲れているだけに安心感はあるので、思い切ったヤリトリができた。
もちろん自分が作る仕掛けにも何となくだが自信はあった。
逆にバらしてしまうと何を言われるかというプレッシャーもあったんだけども…。
チンの字が用意してくれているタモへと引っ張る事を何度か繰り返すと、魚もついに観念してタモ内に納まった。
「よかった~!」、
おいらも0.4号で獲れたという安心感に包まれた。
ほぼ同サイズの51cm。おそらくキロは越えているのではと思える重量感に達成感がこみ上げてきた。
masaさんポイントを教えて頂いてありがとう、感謝感激です♪
この顔を見てください。ここは北海道やニュージーランドやカナダなどではありません。
九州内にある普通の河川なんですねぇ。
驚くべきことですが浅瀬には50ではきかない60オーバーとも思える魚体も確認できました。
さすがに0.4号の糸では厳しいかもしれません…。
のべ竿でニジマスの大物を釣り上げてみて思ったこと
50オーバーの魚体が、0.4号で獲れるとは思ってはいなかった。
これは、流れの緩いところ・前後が開けていたこと、そして魚のコンディションが解禁明けすぐということで回復しきれてないことがある。
2人ともの感想は、重いだけで走らなかったということに集約される。
自分の作る0.4号の仕掛けは50オーバーの魚の重さにも耐え得るものであったということが確認できた。海でのルアー時にラインメンテナンスの大切さを学んでいたからかななんて思う。そ
れに強い流れに乗せないこと、竿捌きや竿の角度などにもある程度の自信がついたことなどは収獲だった。やはり経験を積むことでしょうかね。
道具的には、糸のバリバスゲームの2lb(0.4号相当)の安定感は寄せる時にも発揮されたし、針はグランのキジブドウ虫で伸びることはなかったので、今後も中心に使っていくことに決めた。
ただしこれが初夏を迎えてニジマスのコンディションが戻っていたときの魚体ならどうなっていたかを考えると、恐ろしいの一言である。
正直腕などではなく、解禁直後だったから獲れたとも思っている。
竿から仕掛けなど全体の見直しの必要性は感じられたし、この竿や仕掛けのまま60オーバーを獲ろうかと考えると、より一層の技が必要だ。
エノハでない事は正直残念です。が、釣り方やヤリトリそして自然の力強さなど沢山の収獲も有り、今後の釣りに役立つ1日となりました。
しかし外来魚や移植をどう考えるか?ってことも気になります。
マス類ならよくてバスやギルは駄目なのか、琵琶湖産の鮎に混じって広がったといわれるハスはどうなるの?
そもそも大分のアマゴが抱えている問題はどうなってるのなど、まぁ単純じゃありませんよね。
2005年『エノハの渓へ』第4話へと続く♪