大分川源頭付近の若杉ダムに降湖型アマゴが居た

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エノハとアメゴ釣りの記憶 第8話

今回は釣行ネタとは少しく違い、源頭直下に居た降湖型のアマゴを取りあげてみたい。

九州全域で見ると、生息域もあってか降湖型ヤマメについては良く知られていると思う。

大分熊本県境の筑後川水系松原・下筌ダムや宮崎県の上椎葉ダム(日向椎葉湖)などは有名だろうし、これ以外にも上流に豊富な放流点を抱えているダムなどで釣果が聞かれているのはご存じの事だろう。

現在は釣り雑誌にネットなどを情報元にし、釣り方で考えると疑似餌が有利な点が多いこともあるためかルアーやフライ釣り愛好家の間で特に広範囲での情報量は多いはずだ。

では「九州の降湖型アマゴは?」と言えば当然のことながら大分川や大野川水系といった大分県内の各ダムが頭に浮かぶだろうが、由布市湯布院町にある若杉ダムで確認された事がとある調査報告書に記されていたので今回取り上げてみたい。

~ エノハ・アメゴ釣りの記憶 第8話 ~

大分川源流、若杉ダムにも降湖型アマゴが居たという調査報告が…

2021年6月頃のことなのだけれど、大分生物談話会の方よりご連絡を頂き、大分市田ノ浦ビーチのレストハウスにて貴重なお話の機会を得ることができた。

ご存じの方も居られると思うが、大分生物談話会では魚類、哺乳類、鳥類、両生類から気候、地形・地質など15以上の各専門分野毎に研究班を組織して調査研究を行っており、その成果などを書籍や報告書でも発表している団体。
魚類全般やヤマメやアマゴに関する興味深い報告もあるので興味のある方は確認してみると面白いかと^^

その魚類班が竹田市域の大野川水系調査をするにあたってお話をとのことで、各河川のアマゴ生息状況やイワメそしてイワナなどについて情報交換と勉強をさせていただきました。
8月以降に調査に入るということなので、竹田市域の報告書完成を今から楽しみにしております♪

さて、大分生物談話会の報告書でなにより驚いたのは「大分県東国東郡姫島の淡水魚類相」の報告があったこと。
何故に姫島…いやもう何と言うべきか、自分とは別分野の調査報告なのだけれど幅広い調査と基礎的な調査の必要性を再確認させられ、頭が下がる思いで一杯になった。

話が逸れてしまったが今回のお話のネタは若杉ダムの降湖型アマゴ、この大分生物談話会の報告書の内容によるものなのであるんである。

参考とさせていただいたのが、『由布院盆地とその流域の魚類相 2006~2017の記録から』大分生物談話会会誌 第11号(2017年)。

若杉ダムの降湖型アマゴそして…

大分川の源頭はくじゅう連山(敢えて久住を使わないのである! 九重はここのえと読めw、おいそこの冬季アウトドア施設のことだwww)ではなく、由布岳の真西に位置する福万山(1235.9m)。

航空写真画像を使用しようとしてみたが、若杉ダムは小さく見難い上に水線なども確認しやすいので国土地理院地図を使用したので下記にてご確認を。

大分川本流の源流部は白滝川と呼ばれ県道50号(安心院湯布院線)に沿って流れているが、九州横断自動車線の橋脚下すぐ北側にあるがその若杉ダム。

本当に小さなダムで面積は約8ha、大分・別府市民なら志高湖が比較対象として分かりやすいと思うがこちらの面積が約8.8ha程でその大きさが分かっていただけるかと思う。

ついでにあげておくと「あれ」や花菖蒲で有名な神楽女湖の面積は約1.9ha、「あれ」というのはそうあの話だ♪
民俗学の調査研究対象だったので当然夜間における現地調査も実施済だが、若杉ダムの降湖型アマゴとは全く関係ないのが残念だ。

では論より証拠ということで、捕獲された降湖型アマゴは以下の写真にて。
※写真は上記報告書より。

降湖型のアマゴ

でもって若杉ダムでは、降湖型アマゴだけでなく降湖型ヤマメとニジマス君まで捕獲されたとも記されていた、マジか…。

降湖型のヤマメ
ニジマス

報告書によれば若杉ダムでは降湖型アマゴ4個体が捕獲されたものの、下流の白滝川ではアマゴが確認されなかったとされている。
確かにアマゴの数は多くなかったけれど、釣り人による絶滅の可能性は高いだろう。

また若杉ダムではニジマスやヤマメの混入をあわせて、『降湖型アマゴは遊漁目的で放流された非在来型個体群であろう』とも記されている。
漁協の放流については詳細を知らないけれど、おそらく個人やある程度の団体の放流によるものなんだろうなとは推測している。

そして若杉ダムとその上流という極めて狭い地域にて降湖型アマゴが確認されたという事から、やはり居たのだというのと共に生命力をしっかりと感じさせられた報告だった。

降湖型アマゴを探してみるのも面白い

この下流側地域は大分川のエノハ釣り場として河川紹介でも少し紹介している。

まぁ大分川で超大物の可能性があるのは「此処だ!」ってエリアだったのだけれど、最近は行って無いこともあって大きく状況は変わっている可能性はあるし、居たとしても全国的知名度を誇る温泉地を訪れる観光客の間をどう縫うのをクリアできればという場所でもある。

「もしかしたら、釣れるかも♪」
と思う人もいるだろうが、若杉ダムに行くのは少し待ってほしい。
ここでは「源頭付近の小さなダムにすら降湖型アマゴが居た」ってことが主題。

この報告書があがって既に時間が立っていることもあるので、この情報を知っている人も多いだろうし、既に釣り人が行ってるだろうから既にアマゴ自体居なくなっている可能性も高い。

上地図で若杉ダム周辺を見てもらえれば分かるだろうが流入河川の長さは僅か1~2km(それ故、降湖型にって可能性も高いかもだけれど)ほど、ダムの上下流に入渓した経験から言えば1日まるっと釣れるコースではない。
疑似餌釣りをメインにして、季節や時間にあわせた場所で粘ってみる手はあるだろうけれども。

若杉ダムの標高は550mほど、放流箇所や生息が確認されている場所が上流にあるという点を手掛かりにするならば、そんなダムや大堰堤は大分川や大野川に沢山あるんじゃねぇのかい? そっちも探してみて自分の手で降湖型を確認した方が楽しくねぇか? って話だ。

色んな人が居て、色んな思いがあって、色んな釣り方があるだろう。
ただいつも思い出されるのは、
「釣り人は川を選べる、地元民に漁協や魚は川を選べない」
という言葉。

若杉ダムの降湖型アマゴを知った人はどうするのだろうか、と見守りながらこれで〆ておきたく思う。

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