マダラ(ヤマメ)の秘渓探訪 宮崎県南部某河川上流部へ

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マダラとは宮崎県南及び熊本県南でのヤマメの魚名方言。
ヤマメは九州ではエノハとされることも多いが、それは主に中、北部での呼び名で、熊本県の人吉市、球磨郡及び宮崎県の東諸県郡から宮崎市以南ではマダラとなる。
参考までに宮崎県北部の北川方面、福岡県朝倉郡、八女郡などではシバゴ、大分県日田市ではアメノハといった古称もある。

さて、以前宮崎のW君に誘われて訪れたことのあるマダラの谷、仮にA谷と呼んでおこう。

このA谷だが、地元の方から聞かされる話でも確実に放流がされておらず、個人放流がもしかしたらという可能性も無いではないが、種の系統は守られていることをみるとその可能性も低いように感じられた。

多くの人にも知られること無くひっそりとしたこの谷がW君のホームグラウンド。
ちと羨ましいもんです。

とりたてて深い谷だとか景観が素晴らしいというわけではない。
ただ昔から人との関係の中で当たり前に在り続けた川、そんな印象を持っている。
そしてその谷川にひっそりと生き続ける、陸封されたままのマダラたち。
このA谷がこの姿のままあることが大切なことと思う。

例えばだが、この谷に限らず大分川の一つの支流いや全域がエノハ保護のために永年禁漁になっても構わない。
まぁできればだが、観察ポイントを設けたり地元の方による調査漁獲でそのエノハの姿態を確認させていただければ二重丸だ。
釣りよりもエノハやマダラのほうが好きだしね。

~2005年 エノハの渓へ第7話~

放流がされていない川のマダラ達

A谷を訪れるのは3年ぶりだろうか。楽しく遊ばせてもらおう朝早くチンの字とともに大分を出発。
途中で宮崎のW君と合流し2台で入渓点を目指す。
おいらのテンションはかなり高め♪

さぁ、マダラの谷へ出発~。

車止めで入渓の準備を済ませると、釣り開始の地点まで30分ほどの山歩き。
W君曰く「もっと上のほうからが良い」とのことだが、我慢できないので、谷へと降りてから釣りはじめる。
おっと、その前に記念撮影だが3人は無理(笑)って、実のところおいらは恥ずかしがり屋。

/_/_/_/_/_/ 憧渓の仕掛け _/_/_/_/_/

■竿=シマノ「渓峰」ZD5.3m硬中硬 穂先は回転式のリリアンに変更
■糸=バリバス ゲーム2lb(0.4号)を通しで
■オモリ=バリバスエコオモリ G1~2B号
■ハリ=グラン キジブドウ虫 2号
■エサ=ミミズと川虫

※W君は6mの竿でエサにブドウ虫を使用。
 チンの字は5.3mに現地の川虫とミミズ。

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W君とチンの字がまだ仕掛けの準備を進めているとき、すでにおいらは釣り開始♪。
速攻で1匹目のマダラちゃん(下写真)をゲット。お先にゴメンナサイ。

ここのマダラは、えらぶたの上にまでパーと黒点が続き、側線にはオレンジ色のラインがはっきりと浮かぶ。各ヒレにも橙色の要素が強い。
う~ん、3年ぶりのマダラはステキだ。

お腹には、マダラの証でもある黒点の小さな物が点々とある。
この「腹部に黒点が多い事」や「体に斑がある」などがマダラの由来。

サイズが大きくなるに釣れてよりくっきりとしてくることだろう。
時折大きな淵はあるものの、突破は意外と楽。落差もそんなに激しくはない。
この日の水量は3割ほど減とはW君の言葉。

好調だった午前中のマダラ釣り

魚からの反応は良く、サイズは7寸より中々あがらないものの数は出ている。
釣れてくるマダラたちの特徴はまったく一緒であることは、何よりうれしい。
これが川の当たり前の姿だったのか、なんて思えてくる。
先頭を交代しながら、3人で20本ほど釣ることができた。

比較のために2本入れてみて撮影。ヤマメらしく、俊敏さや警戒心は大分でいつも釣っているアマゴ達よりも上。
オモリを変えつつ、アタリをとり易くしていった。

大きさが違うだけで、身体的特徴は一緒だねぇ。

さてさて今日のお昼は、各自毎に釣ったマダラの塩焼き1人1本とカップ麺という予定。
それぞれ最長サイズのみキープするのが今日のルール。

出会いにつくとちょうど良い川原があったので早速準備にとりかかった。
火起こしと焼きはチンの字、湯沸しとカップ麺はW君、捌きと串刺しはおいらとそれぞれが分担。

=昼食は塩焼き!=

おいらとW君の塩焼きは7寸クラスのマダラで、塩焼きとしては最高。
しかし、チンの字のは5寸ほどのちと小さめサイズ。
焼き上がるのはもちろん早く頭からバリバリと喰い終わってから、こちらをじっと見つめている。

おいらのが焼きあがり、一口喰ってみるが、「こりゃぁ美味い! 何ともいえんちゃ」と喜色ばむが、何だか視線が痛い。

チン:「この出会いで釣った最後の7寸捨てるんだもんな~」
憧渓:「バカ、ワレのが小せえち、知らんやったんじゃ~わぇ」
チン:「友バッグの5寸と入れ替えて欲しかったなぁ~」
憧渓:「う、…」
チン:「塩加減どぉっすか?」
憧渓:「え…、半分食べる?」
チン:「いただきます!」

それぞれ1本づつ谷の恵みを分けていただき、後片付けをして再び上を目指した。
昨年の台風のおかげか、崩れた崖も多く、淵やポイントはやっぱり変わったようだ。

辛い遡行だけとなった午後の釣り

午後からはW君のお父さんが勧めてくれた上流域で良型が狙えるはずで、W君自身も実績があった。

しかし、マダラの反応は非常に渋い…。
一方、遡行のほうは時折壁を登る程度で大楽。
こうなるとおいらの足は速くなり、ポイントをガンガン飛ばして先を求めていく。
大変なのは同行の2人、もう釣っているのだか遡行しているのだか分かりはしない。

=A谷マダラ(ヤマメ)、育ちそうな感じです!=

アタリが遠のいて、集中力が欠けていたのか、ハリを結び変えた時に変なダマができていた。
「どうせ今日は7寸だろ~」なんて結び直さなかったのがいけない。
大場にエサを投入してみると、良型の反転アタリのような感じにすっと合わせた。
きっちりハリガカリし魚の引きに耐えようと竿を操作すると、フッとテンションが無くなった…。

やってしもうた。

「仕掛けは丁寧に作る!」、そう常々思っていたのに。
サイズはおそらく8寸~9寸くらいだろう。この日は貴重なサイズの1本になるはずだった。
何度同じ事を繰り返すのかと、ちと嫌気がさしてくる。
その後はアタリをもまばらになり数もあがらなくなった。

体も疲れた頃W君に帰りの時間を聞けば、此処から車止めまで歩いて約2時間ほどとのことなので、そろそろ引き返さないと日がくれてしまう。
まだまだ奥も深いこの谷なので、「まだ上が見たい」と思いながらも、再び挑戦する日を虎視眈々と狙おうと納得して、帰りの道をとることにした。

その後、チンの字はバテバテになり、夕食のときまで顔色は青いままだった。
何かと忙しかった中、歩く距離も長めだったのとウェーダーの暑さにやられたようだ。

相変わらず下りに強いおいら。
登山大会は弱いが下山大会があれば強いって、自慢にはなりませんが…。

しかし、木の枝に引っ掛かった竿を無理に引っ張ると~、と~。
ペキっと良い音がしたんだな、これが…。

マダラへとA谷への想い

夜遅くになったが、この日は宮崎市内のW君一家宅にお世話になった。娘さんがこの日は誕生日だったので、ちょっとしたパーティーが開催。
おいらの精神レベルは8歳前後だということが判明した♪ 本当にご馳走様でした! 今度は大分へお越しくださいネ。

次の日は宮崎市周辺を観光し、昼過ぎにW君一家と別れて大分へと家路に着いた。
途中新規ポイントになりそうな河川を確認しつつ、何箇所かの谷を歩き大分にはヘロヘロ状態でたどり着いた。

もう少し体力を回復させなければなりません。

もう少し早くこのマダラの谷を訪れたかった、というより来なければいけなかった。

それは…、実はW君のお父さんもこのA谷とマダラを愛した渓流マンいや渓流師だった。
以前A谷の話を懐かしそうに語ってくれたのが記憶に残っている。
お酒を片手に、「合流から上が良いポイントだ」とか「秋には大物が釣れるから」という話をしてくれた。

友人がとある谷で亡くなったのを機に、渓流竿を置いた仁の心あふれるお父さん。
昨年の9月末に急逝されたとのこと。この日はそのお参りも兼ねての釣行となった。

大げさかもしれないが、W君のお父さん達が守ってくれていたこの谷。
そのバトンは完全にW君にも渡されているように思う。人間が騒ぎすぎず触りすぎず、
これからもA谷がこのままでありますようにと、おいらも願わずにはいられない。

魚たちがそのままに泳げる川。そして、心優しき釣り人が其処を訪なう。
そんな場面が目の前にあるならば、C&Rを代表とする渓流釣りを取り巻く様々な論争は色褪せていく気がする。

2005年『エノハの渓へ』第8話へと続く♪

マダラの次は、番匠川のエノハを狙っていきます!

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