肥後国之内熊本領産物帳にみる熊本県の魚名及び方言

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肥後国之内熊本領産物帳

肥後国之内熊本領産物帳の魚名表現を確認することで、熊本県の江戸時代中期における魚名方言及び惣名(当時の標準和名というか江戸での通り名的な物)がみえてくるのではと♪

魚種の比定の問題もあるのだけれど豊後国産物帳でも見た通り、正直なところ「正確なものは難しいなぁ」と考えています。
なんというか今は魚類学における分類が進み過ぎていて一般的に捉える魚とはある意味で乖離している気がしてましてねぇ、表現は難しいのですが(苦笑)。
強いて例えるなら「ハヤを○○ではハエと呼ぶ」はまぁ一般的に通るかと思うのですが、現代の標準和名や分類で云う「ぬまむつ、おいかわ、かわむつ」のどれかと言われると「分かりません!」と開き直るほかないというね。

そこらは当時の魚名及び方言の正確性を高めるためにも、確実なもの以外は標準和名よりも一般的な表現を選択していこうと思う。

そして魚名方言と記すことで、訛っているとか地方の変化した言葉だとか勘違いしてしまう部分もあるのも悩みの種。
かといって標準語っていうなら熊本方言や大分方言でなく肥後語とか豊後語といったほうがよい!、などというのもまた大きな誤解を招きそうだしなぁと(笑)。

またイワナの件でも見られるように「鮇」の漢字がイワナと訓むとしても、江戸時代もその意味だったとは限らないという点もあるしねぇ、遠い目で自戒を込めつつですよこれ。
史料は今後も参考にしなければらなないので、魚名漢字もより詳細に調べていきたいものだと。

まぁとにかく「国際化だ!」やら「人の多様性を大事にしろ!」なんて声が大きくなる中、日本国内でじっくりと温められてきた多様性自体が消されていく現状を憂いつつ、一緒に熊本県の江戸期魚名表現を見てほしく思っておりまする。

※2022年 修正、追記(主に海魚)した再掲分となります。

『肥後国之内熊本領産物帳』記載の魚名一覧

『肥後国之内熊本領産物帳』は各地の産物帳と同じく江戸時代の享保期の成立とされる。

そして肥後国産物帳に記されている範囲は、飽田郡、詫摩郡、山本郡、合志郡、菊池郡、山鹿郡、玉名郡、宇土郡、上益城郡、下益城郡、八代郡、葦北郡、阿蘇郡。
※この時期の肥後国は、天草郡及び八代郡五箇荘は天領、球磨郡は人吉藩領。

これを現在の地域で考えるならこの産物帳に記されているのは、江戸中期に於ける球磨川以外の熊本県内河川(菊池川、白川、緑川、氷川等に筑後川、五ヶ瀬川、大野川の一部)の淡水魚名と八代海、有明海南部の海産魚類名となる。

==凡例============
※ []内は産物帳記載のフリガナ。
※ 変換できない文字やサーバー非対応のものは、〇編+旁等にて示した。
※ ⇒○○の魚名は、比定した標準和名もしくは一般的な魚名。比定できていない魚名は調査中。
※ 本文記載以外のカタカナ魚名は標準和名か現代で一般的な表現。平仮名や「」内は当時の読み書きを意識したもの。
※ ▼は筆者の考察、考察等
================

肥後国之内熊本領産物帳の内、川魚之類

泥鰌[ドヂャウ] ⇒ ドジョウ
鯉 ⇒ コイ
鮒 ⇒ フナ
鱸 ⇒ スズキ
鰡 ⇒ ボラ
えぶな ⇒ ボラの幼魚か?
 ▼江鮒であれば当時の畿内で云うボラの幼魚となる。
  豊後国産物帳にも記されているが、あちらでは海魚の類に入れられている。
いだ ⇒ ウグイ
鮎 ⇒ アユ
鯰 ⇒ ナマズ
はへ ⇒ ハヤ類
 ▼ぬまむつ、おいかわ、かわむつなどの総称としてのはや類か。
  豊後国と肥後国ではいだとはへを別表記のため、イダはハヤとは捉えてなかったと考えられる。
鰻 魚+麗 魚[ウナギ] ⇒ ウナギ
 ▼この時期のウナギ表記に多くみられる。
どんくう ⇒ 川に棲むカジカ類か?
 ▼『物類称呼』には九州では「どんぽ」、山鹿郡と山本郡では「トンクハウ」や「ドンクハウ」。
  標準和名で言うドンコ≠「どんくう」系かと考えている。
  現在の熊本弁に残るのは、「ドグラ」や「ドンカッチョ」がある。
ごり ⇒ チチブ・ヨシノボリの類、もしくは川に棲むハゼ類か?
 ▼「どんくう」を含めて考察の要有り、腹部の吸盤有り無しや最大長などで分類していた可能性もある。
  全国で見るとゴリがチチブ類を指している箇所等も多く、九州ではその幼魚を指すことも指摘されている。
  地域による認識の違いは誤謬や誤解でなく地域の特色と考える。
あぶらめ ⇒ タカハヤ
ゑび ⇒ エビ
 ▼生息範囲からほぼテナガエビになるのでは?とも思う。
  川エビなどとも呼ばれたようだが、九州ではダンマ、ダクマ、ダグマとの報告もある。
水くり ⇒ オヤニラミ
 ▼下記せいじゃんばばjy氏の情報による。
  筑後川方面では「みずくりせいべい」、菊池川では「せいじゃんばば」とのこと。
  肥後国では元々「水くり」系が優勢だったのかもしれない。
ゑのは ⇒ ヤマメ
 ▼生息範囲より。
めたか ⇒ メダカ
鮇 ⇒ カマツカ
 ▼現代で調べるとイワナとなるのだが、江戸期はかまつかの意味での使用例が多い。
  産物帳の基礎資料として残る『山鹿郡山鹿中村手永名品』と『山本郡正院手永土産』には「カマツカ」と記載。
  この産物帳記載にカマツカの表現が見えてないため上記の様に比定はできる。
  まぁ不明魚(てふり・みせ等)がカマツカに比定できた場合はイワナになるのだが…。
赤魚 ⇒ 不明?
 ▼腹赤からの変化、転訛ならマス類の可能性も出てくるが不明。
  海魚にますは記載されているので、川魚で赤いもしくは赤くなるものとは?
  「あかばえ」などという言葉もあるので注意しておきたい。
げんきう ⇒ ギギ
 ▼下記せいじゃんばばjy氏の情報による。
  「げんぎゅ」と呼んでいるとのこと。
  『山鹿郡山鹿中村手永名品』と『山本郡正院手永土産』では「キゝウ」と「ギゞウ」の記載有。
うそむき ⇒ ムギツクか?
 ▼下記せいじゃんばばjy氏の情報による。
  「ウソクチ」と呼ぶようで、他にも例あるのでこれだろうとのこと。
びんた ⇒ タナゴか?
 ▼下記せいじゃんばばjy氏の情報による。
  「しびんちゃ」と呼ぶようだが、個人的にこれだろうとのこと。
小鱸[セイゴ] ⇒ スズキの小型、幼魚
はちふり ⇒ ゴンズイか?
 ▼長崎県野母崎方面でゴンズイの事を呼ぶとのこと。
  長崎野母崎の漁師ブログ(⇒http://ootorimaru.com/mt-mobile/)を参照にした。
てふり ⇒ 不明?
しいのふた ⇒ ヒイラギ
 ▼豊後国産物帳でも考察したがヒイラギかと考えている。
みせ ⇒ 不明?
あさぢ ⇒ カワムツか?
 ▼下記せいじゃんばばjy氏の情報による。
  カワムツを「あさで」と呼ぶ、≒「あさぢ」であろうとのこと。
  また『物類称呼』にては、「おいかはを筑紫にて、あさぢ、あかばゑ、山ぶちばゑと呼ぶ」ともある。
  であればカワムツもしくはオイカワ(あさぢ)をハヤ類(はへ)と分けていた理由が気になるところ。
川白魚 ⇒ 不明?
 ▼シロウオかシラウオか? ノレソレ系統も含むのか等の問題がある。
  高知県で云うドロメ(イワシ稚魚)だが、『物類称呼』にもあるため要注意としておく。

右川魚之類

肥後国之内熊本領産物帳の内各浦々にて漁仕候、海魚之類

鯛 ⇒ マダイ
 くちみたい ⇒ フエフキダイか?
  ▼長崎県では「クチビ」、「クチビダイ」が残るを参考にした。
 あまたい ⇒ アマダイ
  ▼豊後国の産物帳では「くつなたい」と記されている。
   下段記載の「くつな」との違いが見えてこない。
 たわめたい ⇒ 不明
 黒たい ⇒ メジナか
 おふめたい ⇒ メイチダイか?
  ▼メイチダイは長崎県で「おおめだい」というのを参考にした。
   おふめではなくおおめが訓、中々の高級魚。
 かうこたい ⇒ セトダイもしくはヒゲダイ、ヒゲソリダイ、コショウダイか?
  ▼熊本県及び有明海周辺で「コウコダイ」、「コオコダイ」。
   もしくは「コウゴダイ」、「コオゴダイ」
   また「コダイ」、「チンカ」、「コーコ」なども県内で混濁しているかと。
   天草では「ナナツ」や「ナナフウ」ともありこれはコショウダイ。
 ちんたい ⇒ クロダイか
 糸よりたい ⇒ イトヨリダイ
鰡 ⇒ ボラ
しくち ⇒ メナダ
 ▼要調査かと、ボラと別種、有明海の高級魚の一つ。
  江戸期以前のボラは価値が高いが、有明海では古くよりメナダの方が好まれたという。
  現在に残る表現は、エビナゴ→エビナ→アカメ→ヤスミ→ナヨシと成長。
  九州では有明海のみの產となる。
比目魚[カレイ] ⇒ カレイ
赤くち ⇒ ニベか?
 ▼有明海にて「赤グチ」などとされるのはニベとのこと。
  ちなみに福岡県久留米市方面では「アカクチ」とはコイの事となる。
海鰻[ハモ] ⇒ ハモ
鱠残魚[シロウヲ] ⇒ 不明
 ▼川魚の最後にある川白魚と同じく不明としておく。
ゑそ ⇒ えそ
鰯 ⇒ イワシ
鯒[コチ] ⇒ マゴチ
鯵[アヂ] ⇒ アジ
ます ⇒ マス
 ▼まぁサクラマスかな♪
はぜ ⇒ ハゼ類か
 ▼一般的なマハゼに相当すると考えている。
こて魚 ⇒ 不明か?
 ▼長崎県ではサカタザメを「コテ」と呼ぶので可能性はある。
さわら ⇒ サワラ
鱚[キス] ⇒ キス
 ▼科学書院版では鱚の漢字を充てているのは読みが記されているからだろう。
 ただし使用されている漢字は革が編であり「鱚」の漢字ではないと考えている。
 魚種としてよりも、キスの漢字表記の問題があるかもしれないので記しておく。
鞵底魚[クチゾコ] ⇒ シタビラメか
 ▼有明海、熊本、佐賀などで、「クツゾコ」、「クチゾコ」、「クヂゾコ」と呼ぶ。
鱅魚[コノシロ] ⇒ コノシロ
海鰩魚[エイ]  ⇒ エイの類
ふか ⇒ サメの類
 ▼江戸期の九州ではサメという名はあまり使われない、「物類称呼」より。
河豚[フグ] ⇒ フグ
たち魚  ⇒ タチウオ
魴魚[マナカツヲ]  ⇒ マナカツオ
海あゆ ⇒ アイゴか?
 ▼うみあゆでなく、発音はうみあい。
  宮崎でもウミアイと呼ぶようで、アイゴと比定する。
はだら ⇒ サッパ
 ▼ママカリの方が通りやすいかもしれない。
  天草及び有明海あたりでの呼び名。
すじ ⇒ 不明
もち魚 ⇒ アイナメかイボダイか?
 ▼熊本県八代方面ではアイナメ、長崎や有明海ではイボダイのこと。
烏賊[イカ] ⇒ イカ類
章魚[タコ] ⇒ タコ類
あかめ ⇒ メナダか?
 ▼残念ながら釣り人に人気のアカメでなくメナダのサイズ違いかと。
とあげ ⇒ 不明
むつ ⇒ ムツ類か?
 ▼ちなみに有明海ではムツゴロウを「ムツ」や「ホンムツ」などとも呼ぶ。
  クロムツなどの類かと思っているが、ハゼ類かもと一応注意しておく。
しやく ⇒ シャコ類か?
 ▼熊本や福岡の有明海で「シャク」、「マジャク」とアナジャコを呼ぶ。
鱵魚[サヨリ] ⇒ サヨリ
のうぞう ⇒ 不明
 ▼天草にて「ノソ」がシロザメとされる。
しらけ ⇒ 不明
あなこ ⇒ アナゴ
がたはせ ⇒ アカハゼか?
 ▼長崎県雲仙の方言に「ガタドンボ」がある。
  ガタは泥や干潟のことで、「ドンボ」はハゼ類の総称。
  以上からの比定。
たれくち ⇒ カタクチイワシか?
 ▼福岡県玄界灘で「エダレ」、長崎で「エタリ」、「エタリガッチョ」。
  有明海で「タレ」、「タレッソ」、「エタリイワシ」等。
  鹿児島県で「アオダレ」、「クロダレ」。
ごあみ ⇒ 不明
まあみ ⇒ 不明
 ▼一応ごあみ、まあみとも不明とした。
  あみに注目すれば、サクラエビとアキアミが想定できる。
やすみ ⇒ メナダ
 ▼メナダの成長段階。
あこう ⇒ アコウ(キジハタ)
めはる ⇒ メバル
かつを ⇒ カツオ
なまこ ⇒ ナマコ
かいめこち ⇒ ヨシノゴチ(シロゴチ)か?
 ▼天草での呼び名とされるので、一応比定。
  「カイメ」だと九州及び有明海ではサカタザメとなる点は注意。
ろぐら ⇒ クロアナゴ
 ▼天草の「ドグラ」がクロアナゴな事を参考にしておく。
さごし ⇒ ウシサワラか?
 ▼サワラは既出。「サゴシ」は成長魚としてその途中だが東京から四国方面までが有名。
  鹿児島県や長崎県では「サゴシ」はウシサワラでこちらの方が有力かと。
おごせ ⇒ 不明
かたふつ ⇒ 不明
ふくら ⇒ 不明
ざこ ⇒ 不明
ひら ⇒ ヒラか?
 ▼そのままだが長崎県の呼称を参考に一応比定。
  大型ニシンの様に見える。
  ヒラメやヒラマサなどではないと考えている。
船ばり ⇒ 不明
かうさり ⇒ 不明
うしのした ⇒ ウシノシタの類か?
つずの魚 ⇒ 不明
文鰩魚[トビウヲ] ⇒ トビウオ
こんの魚 ⇒ 不明
海豚[イルカ] ⇒ イルカ
かの魚 ⇒ 不明
ひいか ⇒ ヒイカ(ジンドウイカ)か?
はちふり ⇒ ゴンズイか?
 ▼上段川魚の部参照
六つ五郎 ⇒ ムツゴロウ
あら ⇒ アラ
ちんくわ ⇒ 不明?
 ▼天草などで「チンカ」、ヒゲソリダイの事とされる。
たくま ⇒ 不明
 ▼九州での川エビ方言名ではあるが…、不明としておこう。
くつな ⇒ 不明?
 ▼豊後国分を参考にすればアマダイとなるのだが、既出となっている。
  アマダイを小分類にしたのか、別魚種なのかを検証中。
さゞいわり ⇒ ネコザメか?
 ▼福岡県にて「サデワリ」、長崎県にて「サデエワリ」、「シャジャワリ」、
  三重県にて「サザイワリ」などを参考にした。
  「栄螺割」に由来するとか。
くさび ⇒ ベラの類か?
 ▼長崎県にてベラ系の魚をさす。
花臍魚[アンコウ] ⇒ アンコウ
海老 ⇒ エビ

右海魚飽田郡宇土郡八代郡葦北郡玉名郡海辺浦々ニて仕候

産物帳の魚名比定、方言情報提供、参考史料他

豊後国の産物帳と比較して分かるのは、「豊後領はしょせん飛び地なので」程度の扱いであったのか手永の報告書にあった魚名表現(方言)から魚種が確定できなかったのかは判然としないけれど、魚名の多さは比較にならないほど肥後国分の方が多いこと。

今回の魚名の比定では、熊本魚名の情報が弱いため範囲外の天草や周辺地域の魚名方言を参考にした部分は多い。
これからも情報を集めつつ熊本の魚名方言を明らかにしていきたい。

『物類称呼』でもそうだが、当時はカレイとヒラメが分かれていない表現となっている。
魚名としてはヒラメも古くからあるが、ここらは当時の本草学の影響を受けて「比目魚」として総称させているのかもしれない。
今後も他地域の産物帳を見ていくので、次第に理解が及ぶだろうと楽観視しておこう♪

ブリなどメナダ以外の成長魚名が見えてなかったりするのも問題として残り、不明な魚名の解析を待ちたいところ。

せいじゃんばばjyさんからの熊本淡水魚名方言

情報いただき、ありがとうございます。本当に助かります♪
※旧掲載ページにコメントとしていただきました。

「げんぎゅ」=げんきう ⇒ ギギ
「ウソクチ」≒うそむき ⇒ ムギツク
 (他にも例有なので一応これで^^)
「しびんちゃ」≒びんた ⇒ タナゴ
 (これは、個人的に多分です^^;)
「あさで」≒阿さぢ ⇒ カワムツ

筑後川方面ではオヤニラミ→「みずくりせいべい」、菊池川では「せいじゃんばば」。

オヤニラミの名前は「怪しいなぁ♪」、間違いなく曰くモノガタリありそうですよね^^ ということでググってみますと、みずくりせいべいは速効でしたw 
機会を見てまとめてみたいです、せいじゃんばばjyさん本当にありがとうございました。

参考資料・書籍・WEB

●『肥後国之内熊本領産物帳』、享保二十(1735)年。盛永俊太郎・安田健編(1989):『享保・元文諸国産物帳集成 第13巻 豊後・肥後』、科学書院。影印本。

真名真魚字典

肥後細川藩拾遺

熊本県菊池川水系中流域の川魚に限定されるが、『山鹿郡山鹿中村両手永名品』と『山本郡正院手永土産』の両史料も参考になった。

また、同時期に熊本藩が記したのが豊後国の産物帳。
幕府に提出した熊本藩の役人がもう少し力を入れてくれてたら良かったのですが、方言と思われる記述が少なく個人的に今一つ評価の上がらない史料だけど、他に使える弾もないため貴重な史料というやるせなさ。

上がってきた魚名表現とか分からない物はバッサリ切ったんじゃね~の?なんて疑いを(笑!)。
これもすべて小藩分立及びその原因を作った大友家が悪いと思う、いやそれしかないんであるんである!

もうひとつが問題であった九州イワナ関連の考察と「鮇」の問題。

こちらで取り上げた時は熊本にもイワナが江戸時代から生息していたと思ったんですがねぇ…ひと時でした(大泣)、「鮇」はカマツカでしょうなぁ。

産物帳と魚名調査のこれから

NHKの大河などにも顔を出す、細川忠興が肥後細川家初代。
いわば戦国~江戸初期のメジャー武将・大名で、その正室はご存じ明智光秀の娘・玉子(通称細川ガラシャ)、父は藤孝。
関が原の論功行賞により1600年豊前国中津・豊後国杵築計39万9千石(小倉に藩庁を移す前段階、後小倉藩)、その後1632年に加増され肥後熊本藩54万石となる。

手永制など興味深い点が細川家の施策においてみられるが、ここでは割愛。
江戸~明治にかけて細川氏の治世が与えた影響は北九州、大分、熊本の広い範囲に及んでいたことのみを指摘しておきましょう。

ここでは魚類に焦点を当てているけれど、『肥後国之内熊本領産物帳』なので、穀類、菜類、木類、菌類、菓類、虫類、鳥類、獣類他当時の表現や生息種がずらりと並んでおります。
産物帳全体に言えるのだけれど歴史史料としてだけでなく、生物学や植物学などの地域史料としてもかなり貴重かなと。

細川家が残してくれたことには感謝です♪

今後は早いうちに大分県と熊本県の魚名方言一覧を作成し、その手を九州に広げたいと思います。
各地域の魚名に心当たりがある方よりの情報提供お待ちしております♪

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