的渕川の蛇の日と穴川川にて猿との近接遭遇♪

スポンサーリンク
エノハとアメゴ釣りの記憶 第5話

渓流釣りで上源流に足を伸ばし山歩きの回数が増えると、どうしても野生動物と出会う確率は上がると思う。

中でも危険なのは「熊」だろうけれど、九州と四国の渓流釣り師であれば気にする人はいないはず。
それでも民俗学の採集探訪などで山村を訪れた際に聞かされる熊猟の話を知れば、これらの地域に熊が居たのがそんなに遠かった昔ではないことは実感できるだろう。

となると熊以外で命にかかわりそうな危険性がある野生動物なのは「マムシ」、次いで「イノシシ」だろう。
渓流釣りを始めたばかりだとアメゴやエノハをはじめとして、どうしても魚に目を向けがちだろうけれど注意をしておくべき存在かと。

もちろん毎日のように鏡川を釣っていた憧渓もそれなりに動物たちとの出会いがあった。
特に「危なかった!」という記憶はないものの、少しばかり驚かされたり怖くなったりした出来事を幾つか紹介してみよう。

~ エノハ・アメゴ釣りの記憶 第5話 ~

禁忌(タブー)と蛇の日

今では気にしない人(というよりも知らないのかもw)が多いとは思うが、渓流釣りに関わるだろう禁忌としてあるのが以下の2つ。

  1. お盆の期間に、殺生をしてはいけない。
  2. 8月15日ないしは16日に川(海の場合も)に行ってはならない。

民俗採集においては全国的に広く採集るこれらの事例には、禁忌に付随する理由や破るとどうなるかが語られる場合もある。
詳細はここでは省くけれど、民俗学的には当時の人々の心性を映しているものと言っておこうか。

もしもの為についでに記しておくが、上記以外に山中にて物の怪に出会ってしまう事が万が一の可能性であるかもしれない。
幸いなことに憧渓には無いのだけれど、そんな時は金物(渓流釣りなら、ハリは持ってるでしょうからそれでも可かなと♪)が祓う呪具となるというのが言い伝えである。

ただし、地域や物の怪の種類によっては効かないかもしれないので気休め程度で♪

的渕川にて蛇、蛇、蛇ばかりの日

ある初夏の頃だったか、鏡川の支流的渕川にてアメゴ釣りをしていた時。
梅ノ木川との合流点より上流で平家の滝前の堰堤より下流の区間(竹奈路~違野あたり)、結構開けたポイントでたるい瀬が100m程続いているようなとこだったと思う。

ポイントに振り込もうと立ち止り竿を振ると、後の藪からガサガサという音ともにカラス蛇。

さすがに目にしたくらいで叫ぶことは無いけれど、クチナワ(蛇の総称)に出会うと「じわーっ(静かにとかこそって感じ♪)」と動いてしまいますね、マヘビ(マムシ)なら速攻で回避かつ迂回ルートを選択。

山仕事が多い人ならば、嬉々として捕まえてからマムシ酒などにするところでしょうがそこまでの器量はないのでねぇ。

気にすることなく釣っても良いのだけれど、何となく嫌になるので少し上のポイントに移動。
すると、そこでも暫く釣っていると後の藪からガサガサと音がして、今度はシマヘビが出現。

その後も移ったあらゆるポイントで、ガサガサ~ズルリと蛇が出現。
何だかこちらを見つめてるような感じがして、嫌になってこの日の釣りを切り上げることに。

その後の事ですが次の年もその次の年も同時期に穴川川や吉原川でも同じ体験をしてしまい、それ以来初夏にあるこの日の事を「蛇の日」と名付けました。
事故を起こしたり不幸なことが起きてないのは救いかなと。
蛇たちは初夏の温度変化にでも負けて、川原に遊びにでも来ていたのでしょうかねぇ?

それ以来「蛇の日」に行き当たったら、川は蛇に譲って帰るようにしています。
禁忌ではないのだけれど自分の決め事のようなものとなりました、山の神さまが「帰れ」と告げているんだとね。

穴川川上流、樽の滝下にて猿との遭遇

昨今はジビエだとか呼ぶようでシカやイノシシの肉もお町んシ(鄙人が呼ぶ都会人の蔑称w)でも幾らかは身近に感じているかと思う。
自身も焼肉、鍋、刺身、燻製などを好んで食してきた。

ただキジ、ウサギ、タヌキはタイミングが合わずに一度も口にしたことが無いのが口惜しく「是非とも食すべし!」とも言える食い物かと♪
それ故かキジに出会えば釣行に弓とか鉄砲も携行すべきかと悩むし、ウサギに出会えばハンドルを切るなんてこともあった。

ただねぇ、猿は食い物には入ってこないんだな、これが(苦笑)。

というわけでお話の舞台である鏡川支流の穴川川へと移ろう。
観光スポットでもある穴川川上流にある樽の滝下周辺は、憧渓が源流釣りの基礎を勉強した釣り場で、解禁前と禁漁後には参拝を欠かさなかった龍神様の祠もあるところ。

行き止まりには樽の滝荘という食事処があり、気のいいおんちゃんが営んでいたが今は廃業しているらしい。
参考までに地理院地図をペタリ。

樽の滝見学通路にかかる橋の前後まで長短2種類のルートを設定して遡行、大物に出会うことは無かったけれどザイル等の必要もないので初心者の方の足慣らしに良いルートだろう。

滝上の話を地元の人なら耳にして興味もあるだろうが、滝本体周辺から巻くのは高低差もあって危険は高く素人には無理目なので、樽の滝荘傍に迂回路があるのでそちらを利用する方が良いと思う。
また車を置く場所がほとんどないので、地元の方や滝観光の方の迷惑にならないような配慮は必要。

さてそんな穴川川にて、樽の滝までチョイ釣りの短いルートを選択して釣ることにした曇りがちのとある日の事だ。

見るからにアメゴの好ポイントが連続する区間があり、6~7寸クラスが数本釣れたと思う。
さらに上を目指すためには左手にある高さ3mほどの岩場を越えなければならない。

「うんとこしょ!」っと乗り越えた時、10m程前の木から「ドサッ」と、何かの落ちる音がした。
憧渓の石化けが凄かったのか、何か食い物にでも夢中になっていたのか。

「ムキー」
と声を発する生き物がこちらを睨んできた、
「あ、猿だ…」。

子どもの頃にお猿で有名な高崎山で、追いかけ回され泣き出した悪夢が甦った憧渓は立ちすくんでいた。
人間のビビリを見抜けなかったのか、それとも突然の出現に驚いたのか猿は威嚇した後に奇声を発して逃げていった。

とりあえず胸をなで下ろしたが、『群が近くに居たらどうしよう?』ってな考えに辿り着いた。
いそいそと下り吉原川方面で竿を出しましたが、周辺に気を配りすぎたのか、ビビリすぎていたのか、アメゴは釣れなかったような気がします。

いやいや、こっちがビックリしたっちゃ!
ウサギだったら追いかけるかしたかもだが、猿を見ても食い気なんか起きるわけもねぇわな。

コメント

タイトルとURLをコピーしました