渓流釣り場は、瀬、渕、滝、トロ場、堰堤等の地形で構成される

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祝子川支流の源流部

渓流釣り場としては瀬、滝、渕といった重要なポイントがあり、川遊びや観光などでも見かけるであろう堰堤、ダム、テトラポッドという言葉とともに一般的かとは思う。

それでも沢屋や山屋との会話や谷師との情報交換などでは、瀞(トロ)場、ゴーロ、ゴルジュ、釜、ナメなど入門者にとっては聞きなれない地形も出てくるのではと考える。これらは、沢の遡行図などを参考にする場合にも重要な情報となる。
ちなみにだが、沢屋とは沢登り好きの事で山屋と言えば登山好きの事、そして谷師は源流釣り好きの事を指している。

釣友等との情報交換やポイント確定のためには必要な基礎知識でもあるので、渓流釣り場で出会うことになる各種の地形を一通り説明しておくことにしよう。渓流用語の頁にも各種地形の説明があるので、そちらも参考にしていただきたく思います。

瀬、渕、滝等、釣行で出会うであろう実例

瀬、落ち込み、滝、渕、トロ、止水、ゴーロ、ゴルジュ、釜、ナメ、堰堤、ダム、テトラポッドを順に紹介していこう。

ここで、一つ言い逃れをしておきたいのは、地域や沢行・釣行関係者(友人や師匠筋)によって若干ながら同じ言葉を使っても(例えば平瀬やチャラ瀬やザラ瀬などと)ニュアンスが異なる場合があるのだろうと思ってます。

筆者は山屋よりの「とりま谷師」程度なので、遡行図などを確認して現場に行く中で、自分なりに微調整をしていただけると助かります。

瀬、落ち込み

① 

まずは全体に瀬が続くと感じる例を挙げてみよう。

平瀬 五ヶ瀬川水系
瀬が続く五ヶ瀬川水系の支流から

ここは水量の多い五ヶ瀬川支流の中流のエノハ釣り場である。全体としては「」と言っても構わない例ではあるだろう。

ただ詳細に見ていくと、中央部分には大きなチャラ瀬(小砂利などの上を浅く流れている箇所)があり、その流れを左に寄せて木の枝が張り出した深場を作り、左下にある砂州の上手で小さな落ち込みを作っている。

深場からの強い流れとチャラ瀬からの少しの流れが中央から右下にかけて平瀬(浅い流れだがちょっとした小石や小岩などが沈んでいる箇所)として流れ、下手に頭を出している二つの岩にかけてはかなりの好ポイントに見える。

そして、二つの岩から右下への流れはザラ瀬(平瀬よりも沈んだりする岩が大きく小さな白浪を立てる箇所)となっている。

② 平瀬

チャラ瀬と呼ぶ人も居るかもしれないが、個人的な印象は平瀬である。これも宮崎県五ヶ瀬川水系の支流から実例としてみた。

平瀬 五ヶ瀬川水系
宮崎県五ヶ瀬川水系支流より

小砂利の上に小石が無数に蓋をした上を流れるために白泡が立つほどではないものの若干の波が見えると思う。夏の日にこんな川の中をザバザバと上がっていくのは気持ちよいのだが、間違いなくエノハは散るので自分からの距離を稼がないと釣果を上げるのは難しくなる。

中央部から上にあるちょっとした区間は波すら見えないのトロ深瀬(どちらも流れが無いわけではないものの水面には波が立っていない箇所。トロの方は背すら立たない泳ぎ必須の箇所)で、この平瀬に入る辺りは若干のカケアガリになっているのだと思う。

荒瀬

これくらいが荒瀬と呼ぶには標準的かなと考えている。

荒瀬 五ヶ瀬川水系支流から
宮崎県五ヶ瀬川水系支流より

白泡の立つ落ち込みとチャラ瀬が連続するような区間である。この白泡の区間がもっと短く連続するようになるとガンガン瀬などと呼ぶ。

ちょっとした落ち込みからのザラ瀬や底石回りはエノハの狙い目でもあるが、大きな白泡がある下の段に魚を落さないようにしないと一気に下られてハリス切れや慌ててからの転倒もあり得るので注意して釣りたい場所でもある。

瀬を白浪や白泡の立ち方の順でいうなら、深瀬、チャラ瀬、平瀬、ザラ瀬、荒瀬、ガンガン瀬となる。まぁ、先述のように筆者の感覚的な部分もあるのでご注意を。

落ち込み

川の流れにちょっとした段差がついて、白泡立つ箇所を落ち込みと定義しておこう。

落ち込みのポイント例
大分県大分川水系支流より

規模の大小を問わず、とにかくこの落ち込みの攻略がエノハ釣りの大きな肝だろう。

笹濁りの入った水はエノハの大物を期待できるタイミングであり、実際このような日に尺上には届かなかったものの九寸から泣き尺程が十本を越える釣果を得ることができた。もう少しばかり濁ってても良い気はするけれど、入門者は水の色を参考にしておくと良いと思う。

滝、渕、トロ場、止水域

滝や渕は渓流釣りの中では、大場とも呼ばれる箇所である。これは地形的な箇所としても釣れるサイズが期待できることからも来ているかと思っている。

その高さにもよるがは基本的に魚が遡上できない場合が多く、魚止め(エノハ類がそれ以上遡上できない)個所となっていることも多い。
この写真のように大抵は大小のと呼べるものを備えているが、滝壺と呼ぶ方が普通かと思う。この壺は、小さくぐるりと岩やナメに囲まれた場合などはと呼ばれることもあるので注意してほしい。

少し沢屋よりになるけれども、大滝、小滝、斜滝、チョックストン滝、ナメ滝、ねじれ滝、ひょんぐりの滝、二条滝、三条滝などと形状によって色々に分けられる。

滝と滝壺 菊池川渓谷
熊本県菊池渓谷の滝

このくらいのサイズの滝だと、竿や仕掛けの長さなどからもルアーが最も攻めやすい場所だ。のべ竿で奥の落ち込み辺りを攻めるのならば左右のどちらかから高巻き、中程の段を形作る岩に乗って竿を出すしかない。ただし、抜けないサイズのエノハが来た場合は神頼みしかないw

筆者タイプで覚悟を決めて飛び込む人の場合にウェーダー着用ならば絶対に止めた方が良く、神頼みが叶うどころか神様になってしまうはず。
それよりも最初から0.8号以上の糸を使って抜くつもりの方が安全かつ可能性があるだろう。

四国を流れる吉野川水系支流瀬戸川にあるアメガエリの滝などは、アメゴを返すに相応しい大滝。記事を書きながら、釣り疲れてハスルアーで遊んだ記憶が蘇りました。

入門者でもの持つ雰囲気から、大物エノハが潜んで居そうだと心を躍らせるポイントだろう。

菊池川の大渕
熊本県菊池渓谷にある大淵

落ち込みからの頭となる渕上には水の流れはあるが、それが落ち着くと基本的にはトロ(流れは緩く全体的にゆるりと流れる感じといえば良いだろうか)から渕尻となれば落ち込みか段々とした瀬を形成しながら流れ下るのが基本の形。

こういった場所で見えエノハ(ポカンと浮かんでいたり、ライズをしようかと待機したり等)や付き場を攻めることが上手くなると釣果が一つ上がる。

※以上2件は熊本県菊池渓谷にての写真で、熊本フリー写真無料写真の「キロクマ」様のサイトよりお借りしました。

大渕
宮崎県耳川の小さな滝からの渕

上からの画像なので滝壺というか渕の構造がよく分かると思う。落ち込み部分(滝の場合もあるし)の大きさや川の水量によって水勢に違いはあるので釣れるポイントは幾分変わるけれども構造の基本は変わらない。

落ち込みの白泡からの流れがエゴ(魚の隠れ場所であったり棲みかだったりする場所)のありそうな沈み石に直撃しており、竿を出すならば喰い待ちの尺が狙えるのではとワクワクしてしまう。

渕中央の沈み石からカケアガリそして渕尻へと払い出している流れの筋も気になるもかなり緩やかそうなので、筆者ならばエノハを散らすことは避け、できれば左の岩場を流木に注意しつつヘツって足場を確保し、一投目から沈み石の頭を狙いたい。

トロ、止水

流れの中で緩くなっている箇所、また長くなってしまった渕の緩流部分や規模の大きな溜まりの部分をトロもしくはトロ場などという。また、水の流れが止まっているように溜まっている箇所を止水という。

また、強い流れの脇に余った水が溜まっている箇所や伏流や増水後に上下の流れが切れたためなどの理由で、流れの全くない死に水と呼ばれる箇所ができることがあり、場所によっては水が濁り、臭いもして、ヘドロが溜まっているような時もある。

死に水とは違い、トロや止水は水も綺麗な場合が多く上流側には落ち込みや湧水があったりするので魚は溜まっていることが多いが釣りにくい。

特殊な地形であるゴーロ、ナメ、ゴルジュ、釜他

ゴーロ帯

大きな石がゴロゴロして歩きにくい場所をゴーロと呼び、距離が続くような時にはゴーロ帯などという事もある。

奥がゴーロ手前はナメ床
大分県大野川水系ナメ床の流れ奥は巨石のゴーロ帯

上の写真では、手前側がナメ床を流れる水流で奥がゴーロ。選んだ写真もどうかと思うが大きな石どころか只の大岩が重なって続くかなりの規模のゴーロ帯と言える。
ここでは水が岩の下を流れているので竿を出すこともできないので、ゴーロ帯を越えた先に期待するしかなかった場所である。そして行きついた先は側壁30mほどの巨釜付の二段滝だったか…。

行きは勢いもあって良イ良イだが、ピストン(同じ道を使って行き帰りする事)の帰りは勘弁してほしいともいう。特にナメ部分も堅い岩なので、大岩から降りる際には極端な高さからのジャンプは危険となる。

ナメ

大分県の藤河内渓谷や岳切(たっきり)渓谷に愛媛県の面河渓のナメが頭にすぐ浮かんでくる。

ナメ 大野川水系
上写真の少し下流側のナメ

川床や足元が岩盤となった箇所をナメやナメ床などという。上写真なども見事なまでの一面のナメと言ってよい。水中よりも水際の方が滑りやすいことも多いので、遡行時は注意が必要な箇所でもある。

景色に水も美しいけれど、反面川の栄養も少なく、川虫も育ちにくいためエノハ達も居ない事が多い。写真のような場所だと、岩の切れ目やちょっとした溝や深みくらいしか狙えない。もう少し川の水量や水深のあるポイントがあれば釣りになる個所もあるので、釣り場を知っていくしかない。

ナメ床の岩がもっと抉れ、一部が樋(トイ)状になって流れる箇所も見られる。そんな場所もエノハを狙うことができる。

左上から中央にかけて小さいながら支流の流れが見えるだろう。もう少し傾斜があって水量が豊かな箇所だとナメ滝と呼ぶ。

ゴルジュ廊下

フランス語の「のど」を意味する”gorge”からで、川幅の狭まった箇所をゴルジュと云う。また廊下と呼ぶこともある。

ゴルジュ 大分川水系
大分川水系支流のゴルジュ

上写真の例は大分川支流にあるゴルジュである。

両側壁が切り立って手前側が渕になっているのが分かってもらえるだろう。ここの場合はヘツることも高巻くこともできないので泳いで進むしかない。奥には側壁に挟まった石が見え、チョックストンなどと呼ばれる。
落石危険の為に頭上及び側壁注意の上、急な増水だと逃げられないため天候注意の箇所である。

ここの廊下はかなり特殊と言えるので、多くの河川で出会った場合は両岸のどちらかを高巻いて奥を目指すのが良いだろう。

滝や大きく強い流れの落差などの流れで、落ち込み部分の周囲の岩などが円を描くように抉れた箇所をという。
狭まったナメ床に連続してできるような個所もある。

水の流れが複雑かつ強いことが多いために釣るにも泳ぐにもある程度の力量が求められる個所。

堰堤、ダム、テトラポッド他

堰堤ダム

農業用、砂防用、飲料水用などの目的で人工的に川を堰き止めた個所を堤や堰堤と言い、規模の大きなものをダムという。

菊池川にある堰堤
菊池川渓谷にある堰堤

釣り上がると出会うであろう堰堤などの直下はエノハを釣るのに向いた渕が形成されていることが多く、大物が狙えそうな良ポイントがある。釣友などと釣り上がっている際は、「エンテ」と呼ぶことが多い。

大規模なダムではインレットが周辺が良いポイントになる事が多く、特にワカサギの産卵時期などにはこの周辺に集まることがあるので、周囲のダムでポイントをチェックしておくと良いかも知れない。

ただし砂防ダムが連続するような個所に出会うことも渓流釣りアルアルの一つかもしれないが、こんな場所はダムで挟まれた区間が溜まった小石などでガレ場(伏流などで水が無く、土砂や小石でできた地面や急斜面のこと)が形成されることが多い。
草や小木が生い茂り、流れにちょっとした変化(落ち込みや小渕)でもない限り釣れる気がしてこないし、高巻きが連続するのも嫌気がさしてくる。

それでも「エンテや大滝を越えた先にアメゴやエノハの夢幻郷があるかも…」しれないな! との期待は、何度裏切られても甦るものである。

テトラポッド

海岸や河川などの護岸や水制を目的に設置するコンクリートブロックのことを消波ブロックという。ちなみにテトラポッドとはとある会社の登録商標(by wiki)である。
渓流釣りでは上から下流域にかけて、強流・曲流個所やエンテ下流側の川床部分などにこの消波ブロックが設置されていることがある。

糸切れ注意のため仕掛け操作に注意は必要だが、良い感じの沈み石となっていることが多く良型が付く場所を見つけることが出来れば一発大エノハが狙えることもある。

勿論ながら落ち込んだり、流された先に消波ブロックがあると危険なので注意をしておこう。

釣れない場所もあることを知っておこう

流勢がなく、底の変化が薄かった(底石がみられない等)り、上下流側及びヘチ(川の岸沿いの流れ)が砂ばかりの止水域は間違いなくハヤ類しか溜まっていないのでエノハを狙うには向かない。増水後などに期待するしかない。

小石小砂利交じりで流れがしっかりある場所は川虫の育成が良いのだが、このようなエサの供給所が上流側にない箇所もポイント自体は良さそうに見えても釣果を上げるのは辛い。
良さそうな流れを持つように見えるポイントは釣り結果の良し悪しに関わらず、上下の流れも確認しつつ判断する癖をつける事は、釣り場を見る目を養うことを入門者の方は覚えておいてほしい。

川虫は育たない、フェルトの間に入り込んで滑りやすくなる、竿を痛めやすくする等々、砂は渓流釣りの大敵と覚えていても良いだろう。

また、田沢湖の国鱒が絶滅(強酸性水の流入)したことなどで分かるように、水質によって釣れない箇所もある。
富栄養化が進み過ぎた個所、硫黄泉や鉱毒水の流入個所などでは渓魚は生息できないので釣り自体が成立しない。
大水の後に河川改修が入り、川底一面がコンクリート整備されたりするとその下流側数百メートルが釣れなくなることもある。

最後に人が多すぎて、根こそぎ釣られた場合も釣れないだろうw 都市圏周辺の渓流河川ではよく追加放流が行われることからも分かると思う。

釣り場と渓流の基礎知識の関連頁

渓流釣りで代表的な釣り場となる瀬、渕、落ち込み他に現場の基礎知識を確認しておこう。

源流部から下流部にかけて広がるのは、瀬、渕、落ち込み、滝、トロ場、止水域だけでなくゴーロ、ゴルジュ、釜、ナメなどといった特殊な地形、そして堰堤、ダムなどという人工物などが釣り場に立った渓流釣り入門者の前に現れることでしょう。

まずは以下の関連頁にて基礎知識を養い、釣行・入渓に備えてください。

  1.  ヤマメとアマゴの釣り場となる 源流部~下流部の特徴
  2.  渓流釣り場の地形を知ろう 瀬、渕、滝他
  3.  渓流の基本も攻略も落ち込みから
  4.  渓流釣り場を構成するポイントの名称

また、渓流釣り入門に関する記事も以下の頁から確認できます。

読者の皆さまにエノハ達が微笑んでくれることを期待しています。

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