実際に渓流釣りの現場に立つ前に必要なものがあります。
それが各河川の漁協(内水面漁業協同組合)が発行している日券や年券とも言われる遊漁券です。
この遊漁券が無い場合は、都道府県の条例によって処罰されることがあるので、今回はそこらあたりを簡単に説明したいと思う。
しかし簡単にと言っても法的な話が多かったりするので、「遊漁券ちゃんと買うし大丈夫でしょ^^」って方は次項に進んでもらって構いません。
渓流釣りの河川では、内水面漁協が権利を行使する
少し、いやかなり面倒ですがちょっとした知識として頭に入れておくといいかも知れません。まぁ熟練の渓流釣り師でもよく分かってないことなので、知らなくても遊漁券だけ買って釣ってる分には全く問題はありませんのでご安心ください。
水産庁のHPに内水面遊漁(川での釣り)に関する記述がありますので、そこを確認します。
内水面の遊漁に関する制度
水産庁のHPより引用
一般の遊漁者が釣り等を行う場合、河川・湖沼等の公共の用に供されている水面(水産動植物の採捕に関し一般の使用に供せられている水面であり、敷地の所有者等、私人の占有下にある水面は除く)においては、水産資源の保護培養・漁業調整等の観点から、以下の漁業関係法令によって漁業の他一般の釣り等を制限している場合があります。
で、その法的根拠となるのが、
- 水産資源保護法
- 都道府県内水面漁業調整規則
- 内水面漁場管理委員会による指示
- 第5種共同漁業権と遊漁規則
となります。
そのうえで、都道府県知事により第5種共同漁業権の認可を得ている河川漁協が漁業法に基き、ヤマメなど漁業権の対象魚種についての増殖義務により稚魚の放流等を行い、その漁場内で「組合員以外の者が行う=遊漁者(釣り人)」漁業権対象魚種の採捕(遊漁)について、遊漁規則を定め制限を行っています。
※内水面漁協について興味のある方は、全国内水面漁業協同組合連合会をご確認ください。
買わずに渓流釣りをする人、それが密漁者
前頁にて説明した、解禁期間や禁漁区などは上述の事柄に依るもので、解禁時期に新聞やSNSを賑わすのが、これを無視する密漁者となります。現場で漁協の監視員に見つかり、密漁者がひどい場合(対応が荒い、小型ヤマメまで大量に採捕している等)は警察が呼ばれています。
このような密漁者は数こそ少ないですが、一定数存在しています。
もしも見かけたりした場合ですが、一般の遊漁者が声をかけて漁券の有無や行為を指摘すると間違いなく逆切れ(当然ですが、監視員が声をかけても密漁者は逆切れしますwww)しますし、こういう輩は変に準備が良いので、ナタや小刀などを間違いなく持って(筆者ですら所持して^^)ます。
密漁者を見かけた場合は、漁協に通報して後を託すのが一般の遊漁者にはベストな方法と思います。
こういった悪質な密漁者でなくても、遊漁券を買っていなければ密漁者になってしまいますのでご注意を。
巡回中の漁協監視員さんに挨拶を
各漁協では、密漁者の取り締まりや状況確認、当日券の販売などのために監視員が巡回しています。
それで、ちょいちょい聞かれるのが監視員に対する悪口。
実際に釣り場で貴方も、「偉そうに!」とか「上から目線で><」なんて思うこともあるかもしれません。
確かにむかつくこともあるかもしれません、筆者もかなり若い頃に喧嘩になりかけたこともあります。
ただ年をとって丸くなった今、少し待ってほしいと思うのです。
釣り人はそんなに監視員に出会うことはありませんが、先述のように密漁するような不届き者から至極普通の釣り人までとやり取りしなければいけません。
彼らはほぼ手弁当(自動車のガソリン代自腹、遊漁券の多くは放流資金へ。まぁ金回りの良いところは若干異なるかもしれませんが…)で嫌な役目をやってます。
中にはすぐに胸倉掴むような輩もおりますので、心が荒んでいる監視員も…。
遠くからでも確認しやすい位置に遊漁券を付けたり、釣り人から挨拶して少しでも好印象を持ってらうようにするのがベターと考えています。
どうしても納得がいかないとかちょっと対応がおかしいなと思った場合はぐっと飲み込み、後程漁協に電話する方が良いと考えています。別に筆者は、漁協さんから何ももらっておりませんので^^
内水面漁協が無い川ならば買わなくても釣れるのかな?
その川にヤマメやアマゴが居るかは知りませんが、形としては「どぞどぞ、ご自由にお釣りくださいな」と答えられます。昨今では活動を止める内水面漁協も増えていますので、どうしても金を使いたくない方だったり、これまでトラウト類の放流を行ってきた河川なら大きなチャンスと言えるかもしれません。
ただし! が付きます(笑!)
これは、漁協が第5種共同漁業権を放棄しただけですので、先述の水産資源保護法、都道府県内水面漁業調整規則、内水面漁場管理委員会による指示などの網はかけられたままです。
特に都道府県内水面漁業調整規則に定められている、対象魚の解禁期間、釣法、持ち帰るサイズなどは守る必要があります。ただ、監視員などは廻ってくることもないので、地元の方から通報でもされない限りはまぁ…、でしょうけどねw
じゃあ、「漁協が無い方が釣り人にはいいじゃん@@ ラッキー!!」
そう考える方も居るでしょうが、別に次のような人が現れてきます。
「おい! ここは俺たちが放流しちょんのじゃ、何勝手に釣りよんかオめぇワ、おぉう??」
「よし、ニジマスにイワナにヤマメにアマゴ、密かに放流して俺の釣り場にしよっと^^」
「僕たちが自然愛護のためヤマメ・アマゴを放流していますので、釣る場合には援助金をお願いします♪」
書いてる自分が、マジ面倒になります。
「トラブル上等! かかって来いやぁwww」って方以外は、漁協のある川に素直に行きましょう。
遊漁券の購入方法を幾つか
さて最後になりますが、一般的な渓流有望河川では遊漁券を購入して釣ることになります。ある程度規模の大きな漁協の場合は、大抵周辺の釣具店に遊漁券は置いてますのでご安心を。
ただし、漁協規模が小さく山奥へ早朝に入渓した場合などは、昼に下ってきてお店で購入しても特に問題はない(ある程度ナァナァですむ^^)と思います。
また回って来た監視員の方から現場売り(プラス幾らか必要な場合も有)で購入する方法もあります。
僕の立場からは、売る側(漁協)にも問題がないとは言えません、「朝一山の中で、買う店もないやんかぁ!」なんてね。
それでも最近では、道中のコンビニに置いてあったり、漁協から郵送してもらったり、ネットで購入できたりもありますので、できれば事前購入して入渓するのがベストと言えます。
皆さんの住んでいる地域や個人の事情に合わせて、遊漁券を購入し楽しい渓流釣りを始めましょう。
追記 分からないときは、漁協に問い合わせて確認、言質を取るのが大事ですよw もちろん悪い意味じゃありませんし。
渓流釣り入門 トラブルに関連する頁
- 解禁区間と禁漁区、禁止事項
- 遊漁券購入の必要性と漁協の規則
- 渓流と釣り場のマナー
- 転倒は渓流釣りに付き物
- 増水や滑落の危険
- 注意したい野生動物 熊・猪他
- 渓流釣りで厄介なハチやヒル、他
- 渓流釣りを安全に楽しく トラブル回避
渓流釣りの入門者や初心者の方は、上記各頁を参考にしていただけると幸いです。