急激に川の水位は増え、足元の岩は崩れることを知っておこう

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危険な釣りポイントの例
良さようなポイント、ただ右岸に危険が潜む…

個人的には運が良いことに鉄砲水にあったことはないけれど、危なかったなぁという状況には何度かあったことがあるので、そんな経験談を初心者や入門者の方には参考にしていただきたい。

渓流釣りでの事故ではないけれど、1999年8月13日に起きた神奈川県足柄上郡山北町を流れる酒匂川水系玄倉川で起きた悲惨な事故は、当時の放送や報道で大きく取り上げられたので覚えている方も多いと思う。

中州があったであろう場所に取り残された遭難者達、そして水位は上がり続け彼らが下流へと流される衝撃的な映像。報道の姿勢や遭難者たちの行動などで世間を大きく賑わせたけれど、急激な増水による水難事故の貴重な教訓だと思う。

まぁ渓流釣りの場合は山岳事故なのか水難事故なのか区別し難い部分はあるけれど、もしも起きた場合当人にはどうでもよいことで増水による事故に遭わない事が望まれる。

川や谷の増水と危険

昨今では山岳事故などで「山を舐めちょるからや!」なんて意見を耳にすることも多い。
確かに若い上に登山経験が少なくて事故に遭ったりしている記事を見ると、筆者もそう感じることはあるが、山ではベテランや上級登山者でも事故に遭うのはご存じの通りだ。

筆者の感覚だが「若者や初心者は自然を過信」し、「ベテラン(年齢問わず)は自分を過信」していた時に事故が起きるのではないだろうかと、もちろん自省を込めて。

水難事故と山岳遭難事故の数

是非とも確認していただきたいのが、公益財団法人河川財団が掲載している全国の水難事故マップ2003-2018
こちらの地図を見ていただければ分かるが地点表示が真っ赤で、約15年分の事故を地図上に落としているから当然とも思ったが、筆者の想像は超えていた。

九州方面の水難事故発生の位置情報
公益財団法人河川財団参照の水難事故の発生状況

筆者のいる九州だけでも年平均10件を超えている。勿論これには渓流釣りだけでなく、アユ釣りやウナギ釣りに遊びや作業中などの事故も含まれれるが、川の危険性を理解できるのではと思う。

一方、山岳遭難事故でも渓流釣りによる事故報告はされている。
残念ながら全国リストを見つけることはできなかったため、山梨県警察の山岳遭難ファイル令和元年7月掲載分を参考にすると、沢登り4件、釣り1件の報告があった。

この報告を多いとみるか少ないとみるかは人によると思うが、渓流釣り人口がそれほど多くないと考える筆者には、決して少ないとは思えない。

※おそらくテン泊を考えて入渓する方は山好きでもあろうから説明は不要だろうが、登山届への記入や山行(釣行)計画書(支流名、泊予定地他簡単なもので良い)作成は忘れずに行ってほしい。

豪雨体験をした友人(?)の話 らしいw

「雨後は良く釣れる」、渓流釣りではよく耳にするかもしれない。また気圧の変化は魚の行動を変化させることも知られ、雨が降り出すと今まで釣れなかったのが嘘のようにアメゴが良く釣れるようになったりしたものだ。

だから雨は渓流釣り師のテンションも上げることもまた事実で、筆者も多少の雨くらい物ともせずに良く釣り上がり、数だけでなく良型や大型まで釣れるものだから「雨こそ釣る機会」と刷り込まれている部分がある。

人から聞いた、そうあくまでも他人に起きた話をしてみよう。

【崖崩れ一歩手前…】

九州では中々お目に掛かれない美しい朱点を持つアマゴが棲む谷があるらしい。
その男は何とか休みが取れたので、予報も確認せずにその谷へと出発した。

多少の曇りなんて美形アマゴの前では関係もなく、車を止めていそいそと支度をしていると雨がぽつぽつと降って来たという。
「こりゃあラッキーじゃなぁ、しめしめルンルン」
などと他愛もなく独り言を呟きながら谷へと降りると、急に雨足が強くなったそうだ。

戻るか迷いながらもまだ美形アマゴが頭の中を泳いでいたらしいが、雨足だけでなく雨粒までも大きさを増せば、「滑って上がれなくなる! どころじゃないかも…」ことにやっと気づいたという。

そして車へと戻りながら、
「谷を下れば道は狭いが舗装済、ただ谷を抜けるのに1時間半…」
「ここから峠を超えれば、舗装が無いとこはあるが安全そうな場所まで30分…」
と選択を考えていたらしい。

慌てて車に戻り着替えることもなく、「ままよ!」と峠越えの方向へと車を走らせ始めた。
道は狭く前も見えにくいのでスピードは上がらず気もあせるばかり。
雨音に交じり山が鳴くような音(これは幻聴だったかもしれないが…との談)が聞こえ始め、右側の斜面からはあちこちの岩の隙間から水が噴き出していた…。

後は記憶もないまま、家へと辿り着いていたらしい。
男は地元のニュースを確認し、二つしかなかった選択肢のどちらでも崖崩れが起きていたことを知った。

「あぁ、マンが良かっただけじゃけん…」、そう話を締めくくった。

【急激な増水体験】

1級河川上流に在る流程15~20kmほどの支流、その中下流域にて釣っていた時の事。
午前中の釣りを終えた3人組はそぼ降る雨の中、水面からは高さのある橋の下で昼食に焼肉と洒落こんでいたという。

食事も中ほどとなると周りの状況が気になり、少し雨が強くなったかと思った。
先ほどまで顔を出していた岩が見えなくなり、何時の間にか水位が上がっているのがはっきりと見て取れた。
慌てて源流の山の方を見ても良く確認できない、車に戻るか判断がつきかねているとすこしづつだが水が引いていくのが分かった。

ほぼ元の水位に戻ったのがわかったのは、再び顔を出した岩や対岸のブロックに残った水の跡、時間的にはおそらく15~30分もなかったが、目測で50cmほどの増減があった。
おそらくだが、源頭付近の山にて瞬間的な大雨が降ったのだろう。

※この50cmの増水は、渡渉中や逃げ場がない場所ではかなり危険である。

鉄砲水への注意

鉄砲水(てっぽうみず)とは長雨などが続いた後や川上で集中豪雨があった後に起きる出水の事である。

ちなみに「鉄砲水」という言葉が使われるようになったのは、昭和以降と存外新しく「鉄砲堰」が語源らしい。
以前は「山崩」、「山津波」など言われていたため、山間部を歩くとこちらを使う古老も多かった。

※「鉄砲堰
名称はかつて埼玉県秩父地方で呼ばれていたものである。
林道整備や自動車の性能向上により消えて行ったが、昔の林業において木で堰を作り水を溜め、切り出した木材を一気に下流へと押し流すことをいい、堰を使った木材の流送手段は全国各地にあったと聞く。
木材の下流への運搬では筏流しが有名だがこれにはある程度の水量が必要であり、急流かつ水量の少ない山間渓流部にてこの「鉄砲堰」は用いられていた。
東日本における鉄砲堰は、秋田式と越中式に二種類に大別される。

幸か不幸か筆者は遭遇していないが、鉄砲水が起きるには前触れがあると言われている。

大雨の後で山の狭くなった谷間に、流木などで偶然に「鉄砲堰」ができることがあり、支えきれなくなった時に決壊するのがその正体で、そのため鉄砲水は雨降りとは限らず晴天でも起きることに注意してほしい。

  1. 河川が異常に濁ってきた。(前段階)
  2. 一時的に水量が減る。(前段階)
  3. 葉っぱや枝などが通常よりも多量に流れてくる。(堰から溢れ始めた可能性)
  4. 土砂の匂いや異音がする。(もうダメ、すぐ来る><)

1~3の状態に気づいた時は河川に入らない。
最悪釣っていて3~4に気づいた場合はすぐ逃げる、少しでも高い場所へ移動して幸運を祈る。

鉄砲水に限らず、増水の高さや水量は谷の中にその痕が残されている。
太い木の枝に引っかかっている小枝やゴミ、抉られた崖に残った草等々、川に立ったら周囲を確認する(落石等も含め)のは大事なことなので覚えておいてほしい。

滑落と落石注意

転倒より起こりにくいでしょうが、怪我の程度で考えれば間違いなく滑落や落石の方が危険です。
特に朝一など、ポイントに入るのを焦ると足元が疎かになりがちです。
時折、深呼吸をして心を落ち着かせ、一歩づつ下っていきましょう。

滑落しないために

釣り上がりと希望のポイントを考えた時に、「ここから降りた方がいいな♪」って場所があります。
「んじゃ、行きますか!」、と降りはじめるのはいいが、落ち葉は滑るし、掴んだ岩は落ちるし、木も折れます。

そんな崖を下る時は、

  1.  できるだけ両手を自由な状態にしておく。
  2.  飛び移らない。そんな場所に着いたのはルーファンの不良が多い。
  3.  歩幅は小さめに足元確認と足場をしっかりと確保する。
  4.  斜面側に体重をかけることを意識する。

※片手が塞がるならば、斜面と反対側になる手に竿や荷物等を持っておくと危険が少ないと思います。

足回りの装備などでも説明すると思いますが、フェルト系の底は川歩きではかなりの優れモノだけど土に砂利を含みやすいので崖を下りたり長距離を歩くのには注意が必要です。
沢登りなどではちょっとしたアイゼンなどを使う人もおりトラバース時も安心なんて聞きますが、釣り人はまぁ靴を背負ってまでという人は少ないのでね。

竿はロッドケースに入れたままザック等に装備し、仕掛け等の最終仕上げも谷底に降りてからが安全。
まぁ片手に竿を持って下る方が釣り人には似合う気もしてますしそっちの方が多いと思います。
ここは片手では危険という場所で同行者がいるなら、交互に竿を持って移動する方が両手を開けましょう。

本流から源流までデイバックからザックを背負う(カメラ、観察・撮影用アクリルケース、怪我薬、お菓子、ナイフ、予備服、タオル等常備のため)筆者のようなのは珍しい部類でしょう。

沢登りで小滝を突破する人
小滝を超えた先には竜宮城? まずは足元注意から^^

落石注意と危険

同行者が居る場合に最も注意するのは、上方に位置する人が石を落とすことです。
サイズと距離にもよりますが、拳サイズが落ちてきたらと考えてみてください。
また緩い地盤での降下や釣っている横の岩交じりの崖などでは、こちらの動きに関係なく落ちてくる場合もあります。

同行者が居て落石に気づいた(起こした)場合は即座に、
「ラァァク!!!」
と叫んで回避行動を促すようにしておきましょう。

釣り人では少ないですが山岳渓流や沢登りの人がヘルメットを被るのには、この落石対策の意味もありますので、対象となりそうな場所に行く場合は考慮に入れておくと良いでしょう。

また釣りに向かう車でも雨後の道路には落石がある事があります。
筆者には源流からの下り道、行きにはなかった落石見つけて驚いた体験も。

道が狭いために急ハンを切ったりすると、崖から真っ逆さまなんてことになりかねませんので、山間の狭い道はスピード控えめがオススメです。
石ではありませんが、大きな台風後に慣れた林道を走っていると一抱えでは効かない倒木が鎮座しており、期待の釣り場を前に泣く泣く1kmほどバックで引き返したという可哀そうな釣り人が此処に居るそうです。

釣り場でトラブルに遭わないためにの関連頁

渓流釣り入門者が確認したい、釣行前の基礎知識 
渓流釣りを始めるにあたって、それぞれの釣り方ではなく、マナー、事前に準備する道具、ポイント名称、危険回避と安全な釣り、用語、季節と釣りなど、入門者が始めるにあたって知っておきたい基礎知識を解説しています。

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