大分川のアマゴの概観
大分川は筑後川、大野川と共に大分県内の渓流釣り人気河川といってよく、狙えるのはアマゴ。全体的になだらかな流れであり本格的な山岳渓流ではなく、イメージとしては里川がメインの釣り場と考えてよい。どの支流に入ってもアマゴを狙うのに釣りやすくて良い川だろう。
ただし、支流によって渓相が大きく表情を変えるというか、非常に癖があるというかアクが強いのがこの大分川だと思う。入渓地点がわからない、泳がないと突破できない、護岸のドブ川嫌いだ、藻ばかりで釣りにならないなどはよく聞かれる悩みでもある。まぁ初心者から上級者までが渓流釣りの色んな楽しみを見出せるところといっておこう。
※水が美しいところとそうでないところの差が大きく、風景や谷とともに楽しみたい方は、川を選ぶ必要があります。
入渓する支流にもよるが北部九州から高速利用なら、由布院もしくは別府ICを基点として各支流へと向かうのがよく、対象となる主な支流は、阿蘇野川、花合野川、芹川、由布川(賀来川)、小狭間川、七瀬川。
大分川の概要と歴史
大分川は由布院盆地から庄内町や狭間町を経て各支流を集めて、大分市街地を経て別府湾に流れ込む1級河川。幹川流路延長55km、流域面積650平方km。源頭は由布院盆地に流れ込む白滝川の流れ出す福万山。
実は大分という地名の由来は難解で、現大分市街域は府内(藩)と呼ばれていました。時は明治4年廃藩置県時、「県名どうする?」と非常に悩んだらしく、「県の真ん中にあるのが大分郡じゃけん、それでよかろ?」と決まったとかwww つまり大分市よりも大分郡(旧庄内町・狭間町あたり)のがお兄さんってこと♪
大分自体の由来は、『豊後国風土記』にて景行天皇がこの地を訪れた際に、「広大なる哉、この郡は。よろしく碩田国(おおきたのくに)と名づくべし」やら、いやいや「多き田」から来てるのではなどとあるようだ。
さて話を大分川水系に戻そう。なんと言っても、長湯・湯平・由布院といった温泉群もあるのが一番の楽しみかもしれない。渓流釣りと温泉が両立するため、訪れる人も多く憧渓もその一人。別府、大分川水系から天ヶ瀬・九重にかけてが、温泉帝国大分の本領といえる。
ちなみに旧湯布院町は、当時の由布院町と湯平村が合併して以後の名前。だから温泉名は由布院であるし、湯布院町がなくなったんだから湯の字をつかうな~! などというのは、またかなり別の話ww
阿蘇野川上流と芹川上流には、大船山や黒岳への登山ルートもあり、九重側からのルートよりもオススメ。特に紅葉期とミヤマキリシマが咲く時期の景観は見事としか云いようがない。竹田や阿蘇周辺ほど有名ではないが、男池をはじめとして湧水箇所が点在しているのでお持ち帰り用にペットボトルやタンクを携行しておくのもいいだろう。
大分川の本流筋とアマゴそしてサツキマス
よく聞かれるのが、「大分川の本流筋ってアマゴが釣れるの?」ということですが、私の回答はいつも「釣れるが止めておいたほうがよいと思う♪よw」です。
東九州自動車道を湯布院ICで降りて阿蘇野川や芹川方面で釣るには、国道210号線を庄内方面に向かいます。その210号線に沿うように流れているのが大分川の本流にあたります。水量も安定してますし、見るからに良さそうなポイントもありますので気になる方も多いのではないでしょうか。
もちろん、今でもアマゴは居ますし尺物も狙えますが、本流筋を全体で言えば壊滅的に魚影が薄く、2016年時点ではほのかな期待しかもっておりません。放流がほぼなされてなかったこともあるのでしょうが、情報無しに入れば間違いなく無駄足を踏むと思います。地元の方なら大物ポイント探しと称して探索するのも良いでしょうが、素直に阿蘇野川や芹川など支流のポイントを探るほうがオススメです。
かなり昔は好釣り場であったとか尺物も多かったよ、などと聞かされるだけでなく、20年以上前になりますかニジマスの40アップにアマゴの40手前の釣果も目にし、自身も尺クラスまでなら手にしております。それも今は昔のモノガタリ…、今後現れるであろう若手に開拓の期待をしておきます。
さてサツキマスについてですが、まず大分川本流筋には旧庄内町には櫟木(いちき)ダムがあります。その上流で合流している阿蘇野川を中心に降海型っぽくなったアマゴを何度となく目にしてはおりますので、ランドロックを期待して何度通ったことかわかりませんが結果は出ておりません。
ただし大分港周辺では、年に1~2匹ほどサツキマスがサビキで釣れている情報が入ることを考えれば、夢だけは膨らみますがw
白滝川・湯の坪川など由布院温泉周辺
大分川の源頭である福万山(大分自動車道にある長いトンネルで有名か?)から流れ出し、由布院盆地で有名な金鱗湖の水と湯の坪川を合流して大分川の本流として流れ下るのがこの白滝川。アマゴは居るが際立って多いとは言えないので、周辺地元民がサイズを求めて時折狙ってみるのがいい川でしょう。
写真参照:ツーリズムおおいた
家族を城島後楽園や由布院温泉で遊ばせている間に自分は入渓ってのもアリです。気合を入れることさえできれば、訪れる大勢の観光客をギャラリーにして、貴君の素晴らしい釣技を見せるさえも可能!
渓相としては全体になだらかといえ(トロ場多し)、遡行など全く楽しめる景観ではないが、初心者やちょい釣りで遊ぶにはもってこいの川かもしれない。下流側にあたる南由布駅前後の区間には良型野鯉もいるので竿捌きの練習になるかもですが、長く生い茂る藻と足場が面倒となります。
気軽に入れるが土手沿いを見上げるのが恥ずかしくなる、そんな由布院の温泉街あたりの禁猟区から上が一発大物アマゴに期待したいポイントとして紹介しておくがオススメではない。彼女や家族ともし観光に来たなら、サービスついでに川から目を離してはいけない(かもしれないw)。
金鱗湖の近く湯の坪川上流では、産卵後アマゴの死骸(ゆっくり40アップ)を幾つも発見したこともあるし、35アップのアマゴを旅館の板場に売りに来る地元の人も居たww つまり人目さえ気にしなければ超大物がゲットできるかも♪ 観光地のため養魚場があるので、ニジマスの釣果も聞かれる。
個人的には尺クラスまでの実績もあるが、ハヤ・鯉などの外道も多いためルアーの方が結果が近いように思う。宮川や下流の三又合流点上流などは足場も良く、温泉がてら子供連れで遊ぶのも有りだろう。
由布川(ゆふがわ)~賀来川上流
高知から大分に帰省した時に原付で通った頃が懐かしい。ポイントに降りるのに、最初はビックリさせられた所で、切立ったこの由布川峡谷は、東洋のチロルともいわれ深い谷が10数kmにわたって続く。川自体は小さいが、両岸の幅の高さは80mに達するところもある。
崖の中を釣るところが多く、いやゴルジュの中で釣ると云った方がいいだろう。そのためエスケープルートは無いため注意しておきたい。滝に行き当たっても高巻くことさえできず直登するしかない。九州の中でも宮崎県の石並川とともに渓谷のグレードとしては最高クラスの遡行技術を要する。
完全遡行なんてのは自分には全く無理なこと。ただし、大瀞や大滝を突破しなければ釣れないということも無いのはなんとも有りがたい。川虫はかなり上流まで生息しているが、日のあたらないところが多いのでサイズや全体的な数は今ひとつ。
以前は小さな渓の割りに大物が多く尺アマゴの話も聞いたが、サイズよりも遡行とともに楽しみたいという方にお勧めの川。竿の長さは全域で5.4mだともてあます箇所が多いのではないかと思います。
ただ、手軽に避暑と観光ができるとあって、季節・場所によってはカップルや子ども連れも多く釣りにならないときもある。そんな時は思い切りよく皆さんの前で泳いで憂さを晴らしてはいかが?
(以下は’05、’16追記分)
聞いた話や書籍、自分の経験からを合わせて最近思うのだが、水量がかなり減じているようだ。遡行にしろ沢登りにしろ以前よりは楽になっているのが多少気がかり。といっても、依然として沢屋としてのランクはハードで危険。
昨年の台風の所為で、何箇所かで側壁が大きく崩落しているので、かなり危険な部分があります。崩落部分も砂岩(岩の種類は詳しくありません)のような崩れやすいものなので、突破時や雨後そして夜間・不景気・失恋時にはより頭上に注意が必要かと思われます。
小狭間川(おばさまがわ)
ず~っと、こはざまがわだと信じていた恥ずかしい思い出の大分川支流だ。年に1度くらいは、遡行のリハビリを兼ねて出かけていた川。入渓箇所も分かりにくく、遠征に来るならオススメする川ではない。
意外に渓相も良いところがあるが、水質は今ひとつ。水量も全体的に少なめな時が多いので、由布川で人とかぶった時の予備のポイントと考えておくのが基本姿勢。ただし入渓地点は難しいため、入渓前にはしっかりと事前調査は必要。
水量のためか、初期は意外と水温の低いことが多く、おチビさん~7寸までだけなのだが、美しいアマゴもいるのが嬉しいところ。ただし、大分川支流の中でも魚影はもっとも薄い。
ポイント・遡行的には面白いところもあるのだが、日の当たらない谷が多いためかエサも少なめで中々手ごわい。ちょっとした淵にあった両脇のナメで滑るなどあまり良い思いはしていないが、何故か失敗を忘れた頃に顔を出してしまう。
(’16追記)
年を経るごとにアマゴの魚影はますます薄くなっているようだ。
大分県内の渓流釣り(エノハ)情報
エノハ亭内にて、大分県内の渓流釣り河川情報も下記の頁に掲載しております。釣行の参考になれば幸いです。
★大分 渓流釣り・トラウト解禁情報にて、遊漁券・期間等の詳細を掲載しています。